フィリピンの伝統家屋は高床式でBahay Kubo（Cube house）と呼ばれ、支柱、床、壁にはそれぞれの役割に応じた種類の竹が使用されています。

かつては至る所に竹が自生しており、加工も容易なため、最も身近な建築材料であったと考えられます。

Bahay Cubo：US Library of Congress

現在でもBahay Kuboの伝統は引き継がれており、竹と屋根材Anahawのコテージや東屋を製造している作業所が地元のジェンサンにも何箇所かあります。

コテージはリゾートのベッドルーム、住宅の離れ、工事現場の仮設住宅など、また東屋は公園の休憩所、レストランの屋外テーブル、家族が憩う場所などとして使われています。

フィリピン農務省によるとフィリピンは世界第６位の竹の輸出国で、商業用途に使われている９種が年間９４万本（２０２０年）生産されています。

竹は建築だけでなく、工芸品や家具、パルプや紙、橋などの材料にも使える万能素材として需要が増加していると言います。

Buho Bamboo：Carolina Bamboo Garden

Giant Bamboo：Mindanao Journal

最近は竹を使ってさらに大型の建築物を作る試みもなされています。

TupiにあるリゾートStrawberry and Guyabano Farmでは竹を使ったレストラン、イベント・ホール、宿泊設備などが整備中でした。

さらに徹底しているのがDavaoにあるリゾートBamboo Sanctuary and Ecological Parkです。

入場するとまず巨大なドームに驚かされます。

残念ながらドーム部分は鉄骨で、竹が使われているのはドームの支柱だけでした。

そのほか、レストラン、コテージ、通路など多くの建物や構造物に竹が使われています。

リゾートの名前の由来は、竹が次のようなエコロジカルな特性を持っているためです。

１、竹は栽培に農薬や化学薬品を必要としない。

２、竹は成長が早く２−３年（木材は約１０年）で伐採が可能である。

３、伐採しても新しい茎が伸びてくるため繰り返し収穫することができる。

４、高い収量により多くの酸素を生み出し、効果的な二酸化炭素吸収源となる。

２０１８年に英国王立鑑定士協会（RICS）が主催した未来の都市コンテストで２３歳のフィリピン人Earl Patrick Forlalesが第一位の賞金５万ポンドを獲得して、フィリピンの竹に新しい時代が開かれました。

彼が提案したのは加工した竹のパネルを使用したプレハブ住宅で、台風や地震に耐える強度があり、耐用年数は５０年です。

RICSより

彼のプロジェクトは竹に新しい時代を開いただけでなく、フィリピンの住宅建設に次のような変化をもたらしました。

１、フィリピンで初めての本格的なプレハブ住宅となった。

２、全てのパネルは工場で製作されるため、品質管理が容易となった。

３、住宅建築の工期が大幅に短縮された。

４、同じ竹のパネルを使用した家具付きとして、エコロジカルな住宅を実現した。

CUBO Modular Inc.は試行錯誤を続けながらも、現在２４州で建築実績を持つに至っています。

注文住宅にも応じていますが、モデル住宅の概要は次の通りで、大手銀行と提携した３０年の住宅ローンを利用することが可能です。

Boholモデル：CUBO Modular

Boholモデル：CUBO Modular

フィリピンの竹物語