前編では貧乏学生の私が初めて運転免許証を取得したときの懐かしい思い出と、任地のフィリピンで経験した運転免許証取得にまつわる同国ならではの経験について書きました。

 

後編は退職後に住んだパナマ、アメリカ、フィリピンにおける私の運転免許証遍歴です。

 

パナマシティの街並みとパナマ国旗

パナマ市(2003年)(Capital America de la Panama)

 

2002年に60歳で妻と揃って退職したとき、働きながら3人の子育てをした彼女を労うため「これから何をしたい?」と尋ねると、「途上国で普通の主婦をしながら暮らしたい。」というのが返事でした。

 

思いついたのがJICA(国際協力機構)のシニア海外ボランティアです。

 

在職中に担当した船員の教育訓練の分野で募集状況を調べると何カ国かあり、第一志望フィジー、第二志望ジャマイカで応募したのですが、派遣されたのは国立パナマ航海学校でした。

 

パナマ航海学校の建物と士官候補生

国立パナマ航海学校(ENP)

 

公用ビザ付きの公用旅券を所持して入国したパナマには、途上国援助業務に専念できる環境が整えられていました。

 

待遇は住居手当、生活手当、家族手当が支給され、免税措置など外務省職員に準じる様々な特典が与えられます。

 

JICAパナマ事務所の職員に付き添われて運転免許証を取得し、最も安いトヨタ・ヤリスを購入したところ、国際機関職員専用のナンバー・プレートが付けられました。

 

そのナンバー・プレートの威力を知ったのは、長蛇の列の検問を難なく通過できたり交通違反を見過ごしてもらったりしてからです。

 

パナマで取得したトヨタ・ヤリス

トヨタ・ヤリス(2003年)(Wikimedia)

 

2005年にパナマから帰国すると、元の勤務先からフィリピン船員の教育訓練施設拡充プロジェクトの話があり、願っても無いと引き受けました。

 

前回取得した私の運転免許証は失効期間が10年を超えて消滅していたので、日本の運転免許証を提示して新たなフィリピンの免許証を取得し、休日にはメンバーのカントリー・クラブへ行ったり近郊をドライブして楽しみました。

 

ところが、メイドと運転手付きのマニラ生活を満喫していた妻が2009年に発病し、治療のため帰国したのですが2年間の闘病の末に亡くなったのです。

 

フィリピン航海学校の集合写真

フィリピン船員の教育訓練施設(MIS)

 

妻が亡くなった後の喪失感は思いもかけない強さで、娘がフルタイムで働くため小学校と保育所に通う二人の子供の世話係を必要としていることを知ると、進んで娘の家族と同居することを決めました。

 

東京の住まいを処分して娘が住むサンフランシスコへ向かったのは2013年です。

 

サンフランシスコの高速道路渋滞と高層ビル群

San Franciscoの高速道路(SFCTA)

 

米国市民の父親として永住ビザを取得していたので、直ぐにでもカリフォルニア州の運転免許証を取得できるものと思っていました。

 

ところが、所有する運転免許証を提示して同州の運転免許証を取得できるのは他州の住民のみで、外国人は運転免許試験を10日以内に受ける必要があるといいます。

 

念のためにと用意していた国際運転免許証は何の役にも立ちませんでした。

 

国際運転免許証:日本、東京、2013年7月5日発行

 

早速、DMV(Department of Motor Vehicles)のウェブ・サイトで学科試験の例題に取り組み、受験場所は混雑度が低そうな郊外のDMV San Mateoに決めました。

 

学科試験を受けるため朝一番にDMVへ行くと受験者は私だけで、視力検査に続いて事務所の片隅で試験が行われ、合格すると写真撮影と指紋採取ののち仮運転免許証が発行されました。

 

娘の友人に頼んで娘のお古のHonda CRVに同乗してもらい、実技試験が行われるDMV San Mateo周辺の道路を何度か運転して状況を把握しました。

 

DMV窓口で運転免許証を待つ人々

DMV San Mateo(Yelp)

 

カリフォルニア州 DMV 仮免許証

仮運転免許証(Driver's PREP)

 

暫くは様々な永住手続きで忙しく、実技試験を受けたのは4ヶ月後です。

 

試験には持ち込んだHonda CRVが使用され、試験官の指示に従ってDMV San Mateo周辺の一般道路を走行しました。

 

道路脇での縦列駐車も含めてほぼ問題なく試験を終えて帰着すると判定は合格で、私は胸を撫でおろしました。アメリカでの生活は車に支えられていることを痛感していたからです。

 

N Humboldt St交差点と横断歩道

 San Mateo(Yelp)

 

2016年には孫たちが病気になることも稀になったので、私は終の住処を求めてフィリピンのDumagueteへ移住し、その後パートナーの家族と暮らすためGeneral Santosへ転居しました。

 

今年84歳の誕生日を前に運転免許証の更新をしたところ、しばらく前に免許制度の改正があって有効期間が優良運転者の10年となっていました。

 

過去5年間に右折と左折の違反が各1回あったのですが、取り締まり側の要求に応じてそれぞれ千ペソと2千ペソを払って決着したので記録には残っていないのです。

 

フィリピンの免許更新センターで待つ人々

LTO運転免許証更新センター(Robinsons)

 

フィリピン社会が図らずもくれたプレゼント、94歳での運転免許証更新を目指すことになりました。

 

住む国々で姿を変えますが、運転免許証は私の人生の長いパートナーです。

 

高齢男性、運転免許証取得、サンフランシスコ

Newsweekより