産経新聞 [7/22 09:00]
愛知県豊橋市の公立小学校3年の女子児童が6月、いじめられた同級生をかばったところ、逆にいじめられ暴行を受けた問題。
担任の教師がいじめを「遊び」として見過ごすなどしたため、女子児童は3週間の長期欠席に追い込まれた。
過去にはいじめを見かねて立ち向かった子供が次の被害者になり、自ら命を絶った事例もある。「教訓をいかし、課題を検証してほしい。」自殺した子供の遺族からは切実な声が上がる。
19日から夏休みが始まった今、親子で改めていじめ問題を考える機会にしてほしい。(篠原那美)
■正義感が裏目に
問題は6月3日、豊橋市内の公立小学校で、5限目が終わった後の休み時間に起きた。
市教委によると、3年生のクラスで4月以降、1人の女子が複数の男子などから、砂をかけられたり、悪口をいわれたりするいじめを受けていた。
問題が起きた前日も嫌がらせを受けており、見かねた女子児童が、「放課後児童クラブ」(学童保育)の場で「いじめるなら私を代わりにいじめて」と言って止めようとした。
「いじめてもいいんだな」。翌日、その発言を聞きつけた男子2人と女子1人が、こういって跳び蹴りなどの暴行を加え、頭部打撲など1週間のけがを負わせたという。
しかし、担任の男性教師(23)の対応は鈍かった。休み時間が終わって教室に入った教師は、暴行に気付いて制止したものの、被害者の女子児童を保健室や病院に連れて行かなかった。
保護者への連絡も翌日になってからで、女子児童はその後、けがと精神的なショックで、学校を3週間休まざるをえなかった。
■「美談にしないで」
「教師や学校がいじめを傍観するから、子供たちは、何とか自分の力で解決しようと追い込まれてしまう。
いじめは犯罪であり、子供に『立ち向かえ』と指導するのは間違いだ」
平成22年6月、川崎市で、いじめられている友人をかばったことを機に過酷ないじめを受け、自ら命を絶った篠原真矢さん=当時(14)=の父、宏明さん(49)は悲痛な思いで訴える。
「いじめられているのを救ってあげられなかった」。真矢さんの遺書には、そう書かれていた。
真矢さんは半年近く、殴る蹴るなどの暴行や、無理やり下着を脱がされるなどのいじめを受けていたが、自分が攻撃されている間は、友人や他の生徒が標的にされることがなかったため「俺があいつらと仲良くしなきゃクラスがまとまらない」と考え、いじめに耐えていたという。
宏明さんは、豊橋市で起きた問題について「息子も含めて、大人が美談にしてはいけない」と強調する。
「大人が犯罪を警察に通報するように、子供がいじめを大人に通報しやすくすることが大切だ。子供たちには、いじめの告発がチクり(告げ口)ではなく、正当な行為なんだと分かってほしい」
■「遊び」と認識
今回の豊橋市の問題では、そもそもなぜ、きっかけとなった同級生へのいじめが起きた段階で、学校側が適切に対処できなかったのか。
市教委によると、担任の男性教師は大学を卒業したばかりの新任で「学級運営に問題があった」という。
4月以降、子供たちが男性教師の指示に従わないことがたびたびあり、それは学校側も把握していた。
今回の暴行が起きる直前の6月1日に開かれた校内会議では、担任と別の教員による2人体制で授業を行うことを決めたが、結果的に対応は後手に回った。
男性教師は同級生へのいじめを「遊び」や「からかい」としか認識しておらず、市教委担当者は「経験の浅い担任を支える態勢をもっと早く整えるべきだった」と反省を口にする。
今回の暴行で、その日のうちに保護者に連絡しなかった対応も不適切だ。
いじめ問題に取り組むNPO法人「ジェントルハート プロジェクト」の武田さち子さんは「暴行の身体的な影響が帰宅後に生じても、学校での出来事を知らなければ、保護者は適切な処置ができない。学校はその日のうちに保護者に説明すべきだ」と話している。
愛知県豊橋市の公立小学校3年の女子児童が6月、いじめられた同級生をかばったところ、逆にいじめられ暴行を受けた問題。
担任の教師がいじめを「遊び」として見過ごすなどしたため、女子児童は3週間の長期欠席に追い込まれた。
過去にはいじめを見かねて立ち向かった子供が次の被害者になり、自ら命を絶った事例もある。「教訓をいかし、課題を検証してほしい。」自殺した子供の遺族からは切実な声が上がる。
19日から夏休みが始まった今、親子で改めていじめ問題を考える機会にしてほしい。(篠原那美)
■正義感が裏目に
問題は6月3日、豊橋市内の公立小学校で、5限目が終わった後の休み時間に起きた。
市教委によると、3年生のクラスで4月以降、1人の女子が複数の男子などから、砂をかけられたり、悪口をいわれたりするいじめを受けていた。
問題が起きた前日も嫌がらせを受けており、見かねた女子児童が、「放課後児童クラブ」(学童保育)の場で「いじめるなら私を代わりにいじめて」と言って止めようとした。
「いじめてもいいんだな」。翌日、その発言を聞きつけた男子2人と女子1人が、こういって跳び蹴りなどの暴行を加え、頭部打撲など1週間のけがを負わせたという。
しかし、担任の男性教師(23)の対応は鈍かった。休み時間が終わって教室に入った教師は、暴行に気付いて制止したものの、被害者の女子児童を保健室や病院に連れて行かなかった。
保護者への連絡も翌日になってからで、女子児童はその後、けがと精神的なショックで、学校を3週間休まざるをえなかった。
■「美談にしないで」
「教師や学校がいじめを傍観するから、子供たちは、何とか自分の力で解決しようと追い込まれてしまう。
いじめは犯罪であり、子供に『立ち向かえ』と指導するのは間違いだ」
平成22年6月、川崎市で、いじめられている友人をかばったことを機に過酷ないじめを受け、自ら命を絶った篠原真矢さん=当時(14)=の父、宏明さん(49)は悲痛な思いで訴える。
「いじめられているのを救ってあげられなかった」。真矢さんの遺書には、そう書かれていた。
真矢さんは半年近く、殴る蹴るなどの暴行や、無理やり下着を脱がされるなどのいじめを受けていたが、自分が攻撃されている間は、友人や他の生徒が標的にされることがなかったため「俺があいつらと仲良くしなきゃクラスがまとまらない」と考え、いじめに耐えていたという。
宏明さんは、豊橋市で起きた問題について「息子も含めて、大人が美談にしてはいけない」と強調する。
「大人が犯罪を警察に通報するように、子供がいじめを大人に通報しやすくすることが大切だ。子供たちには、いじめの告発がチクり(告げ口)ではなく、正当な行為なんだと分かってほしい」
■「遊び」と認識
今回の豊橋市の問題では、そもそもなぜ、きっかけとなった同級生へのいじめが起きた段階で、学校側が適切に対処できなかったのか。
市教委によると、担任の男性教師は大学を卒業したばかりの新任で「学級運営に問題があった」という。
4月以降、子供たちが男性教師の指示に従わないことがたびたびあり、それは学校側も把握していた。
今回の暴行が起きる直前の6月1日に開かれた校内会議では、担任と別の教員による2人体制で授業を行うことを決めたが、結果的に対応は後手に回った。
男性教師は同級生へのいじめを「遊び」や「からかい」としか認識しておらず、市教委担当者は「経験の浅い担任を支える態勢をもっと早く整えるべきだった」と反省を口にする。
今回の暴行で、その日のうちに保護者に連絡しなかった対応も不適切だ。
いじめ問題に取り組むNPO法人「ジェントルハート プロジェクト」の武田さち子さんは「暴行の身体的な影響が帰宅後に生じても、学校での出来事を知らなければ、保護者は適切な処置ができない。学校はその日のうちに保護者に説明すべきだ」と話している。