ノルサランヘ~君を愛してる~
第33夜【夢の導き】
某所、部屋で目覚める少女。春の昼下がりだった。
『あ…れ…?私…寝ちゃってた…?(汗)』
ベッドの上に座った状態で、目を開けた彼女。うたた寝をしていたようだ。お気に入りの藍色のワンピースが、風に揺れる。
また…何かの夢を見ていた気がする…とても、大切な
そんなことを考えて、ボーッと窓の外を眺めていると…
「結城ちゃぁ~ん!…ちょっと手伝ってくれるかしらぁ?」
一階から母親が呼んだ。
『はーい!今、行くぅ!!』
そう返事をしながら、立ち上がる。
『あれ?(キョトン)』
あの本棚の空白って何だっけ?
部屋にある本棚には、一段だけ、何も置かれていない箇所があった。どの段も、半分は本が置いてあるのに。
まっいっか。早く行かないと、怒られちゃう(汗)
そう思いドアに向かうが…
『…砂時計…?』
自分の机の上に、変わった砂時計が置かれているのに気づいた。こんな物あったっけ?と思い、首をかしげていると…
キィ…
音をたてて、硝子の部分が回転し、また砂を落とし始める。たまたま、机の時計に目が行った。ちょうど、午後3時を指している。そこで…
あっ!…一時間ごとに回転する、変わった砂時計だったっけか…忘れてたよぉ~
そう何もなかったかのように、部屋を出て行く彼女だった。
彼女の住んでいる場所は、山に囲まれた自然豊かな町。昔、重い病気になったことを踏まえて、彼女の為に、越してきた。父親の仕事は、どこに居ても出来ることだったので問題はなかったのだ。けれど、父親が亡くなり、母親は今の仕事を始めた。
一階に行くと、母親亜維羅(アイラ)が受話器を顔と肩で挟みながら、メモを必死に書いている。彼女の家は、地域密着型の弁当屋さんで、客の好みに合わせたオーダーを基準とした、オリジナルを売りにしていた。母親は現在、注文を受け付けている最中。それを見て、彼女は先に準備を始めた。
えっと…お得意様の築木(きずき)さんと沙羅(さら)ちゃんのお弁当箱はと…
いつものことなので、母親に言われなくても、ある場所は知っている。そう明日の為の弁当作りだ。
築木さんは酒瓶の絵で、沙羅ちゃんはクマのぬいぐるみ♪
そう、お得意様ともなると、決まった弁当箱になる。それぞれが好きな柄にだ。さて、他にも弁当箱を出していると…
カランカラン…
『あっ、お頭!』
たまに来る、若いお頭がやって来た。
「今からでも大丈夫か?」
『はい!全然、大丈夫ですよ♪…母はご覧の通り、電話中なので、私が承ります(にこり)』
「んじゃ、明日の分、よろしく頼むぜ。前とおんなじで良いからよぉ」
『承知しました♪では、明日の朝、お待ちしております(にっ)』
サインをすると、お頭は帰って行った。
お頭の箱はバギーだよね♪…でも、そろそろお頭のは終わりかなぁ~…最近、好い人が出来たって聞いたから(笑)…確か、メイさん。…愛妻弁当も間近…見てみたいかも(ニヤ)
「結城ちゃん、なにニヤけてるの?…お頭さんのこと、からかう気じゃないでしょうねぇ…」
『亜維羅母さんっ(汗)…電話、終わってたの?』
「まったく…しょうがない娘だこと…(苦笑)」
『えへへ…(照)』
母親と他愛ない話をしながら、時間が過ぎていった。
実は、この彼女は、幼い頃から不思議な夢を見ていた。例えば、港町のパブで働く子、不思議な組織の一員、槍の達人、韓国語の先生、病弱な子、裁縫の得意な学生、アニメ好きな学生などに、自分がなっている。すべて、年代と国、年齢までもが異なっていたが、父を病気で亡くし、母子家庭で、同じだった。しかも、すべてに共通して、"彼"が出てくる。中には、挨拶程度しかしないモノもあるが、ほとんどが親しい仲になった。そして、彼女は彼に、恋をする。恋が実り、結婚までした夢もあった。…悲しい別れをするモノも…。自分が寝ると、夢の中の彼女が目覚め、物語を紡ぐ。そして、夢の中の自分が寝ると、彼女が目覚めた。まるで…"異空の往来"をしているかのようで…。
見る夢で、一番多く見るモノがあった。それは、不思議な組織の一員である彼女。組織の名前は【黒の教団】…不思議なことに、この夢は三種類も見ている…。その中の一つだけ、出てくる人達を"本の中のキャラ"と言い、何でも知っているのがあった。しかし、夢から覚めると、そのキャラのことは、何一つ、わからなくなる。本当に不思議で、見るのが一番楽しみだった。なぜなら、彼も組織の一員で、初めから彼が好きで、彼との何気ない日々が幸せだったから。そして、自分のことを理解し、支えてくれる彼を、愛した。他の夢で見るような愛してるではなく、それ以上の愛だと感じた。彼の為に、夢の中の彼女は、未来を変えたいと願っていたのだ…けれど…変えられなかったと泣く。夢から覚めてしまっては、何をどう変えたかったのかなんてわからなかった。だけど…覚めた彼女も、すごく悲しくなり、自然と涙が流れた…。その悲しい瞬間にも、幸せな時はあった…彼が、自分を好きだと、愛してると言ってくれたのだ…。しかし、その夢の結末は、いつも一緒。彼との永遠の別れだった。
『どうして…なんで、この夢だけは、私が、どこかに行ってしまうの…?そして、こんなに胸が張り裂けそうなのは、どうして?(泣)』
夢は、途切れ途切れにしか見れないモノだ。だから、理由を見つけたいのにわからない。そのもどかしさが、夢への執着を加速させていた。最近になってからだが、ノートに夢の内容を、メモするようになったのだ。しかし、未だに解らず終い。
いつもと変わらない数日が過ぎた、ある日。今日も弁当作りの手伝いをしていた。そう、いつもと変わらない日常のはずだったのだが…
「結城ちゃん、野菜がなくなりそうだから、摘んできてくれるかしら」
『はぁい、摘んできます』
母親に頼まれ、彼女は、庭先で育てている野菜を取りに、外に出る…いつものこと…。しかし、野菜を摘んでいると急に、声をかけられた。
「アニョハセヨ(こんにちは)。ソニョ・ハルリュ…あぁ…羽黒 結城(にっ)…チョカ(俺が)アルダ(わかる)?」
声に顔をあげると、夢で見ていた青年とよく似た人が、笑顔で立っていた。彼は、眼帯はつけていない。
『あ…あぁ…う、そ、だよね?なんであなたが…』
彼女は、驚きと困惑の表情で立ち尽くした。それを見た青年は…
「ありゃ、せっかく韓国語で頑張ったんだけどなぁ。…なっ、結城。…チョヌン(俺は)…ノル(君を)…サランヘ(愛してる)(微笑)」
もう、いろんな感情がごった返す彼女。しかし、次の瞬間には、涙を流しながら彼に飛び付いていた。そして…
『…サランヘヨ…!(愛してます)』
二人はしばらく、抱き合っていたのだった。現れた青年は、夢に出てきていた彼と関係が?真実は、次第に明かされるのでした。
第33夜 END
第33夜【夢の導き】
某所、部屋で目覚める少女。春の昼下がりだった。
『あ…れ…?私…寝ちゃってた…?(汗)』
ベッドの上に座った状態で、目を開けた彼女。うたた寝をしていたようだ。お気に入りの藍色のワンピースが、風に揺れる。
また…何かの夢を見ていた気がする…とても、大切な
そんなことを考えて、ボーッと窓の外を眺めていると…
「結城ちゃぁ~ん!…ちょっと手伝ってくれるかしらぁ?」
一階から母親が呼んだ。
『はーい!今、行くぅ!!』
そう返事をしながら、立ち上がる。
『あれ?(キョトン)』
あの本棚の空白って何だっけ?
部屋にある本棚には、一段だけ、何も置かれていない箇所があった。どの段も、半分は本が置いてあるのに。
まっいっか。早く行かないと、怒られちゃう(汗)
そう思いドアに向かうが…
『…砂時計…?』
自分の机の上に、変わった砂時計が置かれているのに気づいた。こんな物あったっけ?と思い、首をかしげていると…
キィ…
音をたてて、硝子の部分が回転し、また砂を落とし始める。たまたま、机の時計に目が行った。ちょうど、午後3時を指している。そこで…
あっ!…一時間ごとに回転する、変わった砂時計だったっけか…忘れてたよぉ~
そう何もなかったかのように、部屋を出て行く彼女だった。
彼女の住んでいる場所は、山に囲まれた自然豊かな町。昔、重い病気になったことを踏まえて、彼女の為に、越してきた。父親の仕事は、どこに居ても出来ることだったので問題はなかったのだ。けれど、父親が亡くなり、母親は今の仕事を始めた。
一階に行くと、母親亜維羅(アイラ)が受話器を顔と肩で挟みながら、メモを必死に書いている。彼女の家は、地域密着型の弁当屋さんで、客の好みに合わせたオーダーを基準とした、オリジナルを売りにしていた。母親は現在、注文を受け付けている最中。それを見て、彼女は先に準備を始めた。
えっと…お得意様の築木(きずき)さんと沙羅(さら)ちゃんのお弁当箱はと…
いつものことなので、母親に言われなくても、ある場所は知っている。そう明日の為の弁当作りだ。
築木さんは酒瓶の絵で、沙羅ちゃんはクマのぬいぐるみ♪
そう、お得意様ともなると、決まった弁当箱になる。それぞれが好きな柄にだ。さて、他にも弁当箱を出していると…
カランカラン…
『あっ、お頭!』
たまに来る、若いお頭がやって来た。
「今からでも大丈夫か?」
『はい!全然、大丈夫ですよ♪…母はご覧の通り、電話中なので、私が承ります(にこり)』
「んじゃ、明日の分、よろしく頼むぜ。前とおんなじで良いからよぉ」
『承知しました♪では、明日の朝、お待ちしております(にっ)』
サインをすると、お頭は帰って行った。
お頭の箱はバギーだよね♪…でも、そろそろお頭のは終わりかなぁ~…最近、好い人が出来たって聞いたから(笑)…確か、メイさん。…愛妻弁当も間近…見てみたいかも(ニヤ)
「結城ちゃん、なにニヤけてるの?…お頭さんのこと、からかう気じゃないでしょうねぇ…」
『亜維羅母さんっ(汗)…電話、終わってたの?』
「まったく…しょうがない娘だこと…(苦笑)」
『えへへ…(照)』
母親と他愛ない話をしながら、時間が過ぎていった。
実は、この彼女は、幼い頃から不思議な夢を見ていた。例えば、港町のパブで働く子、不思議な組織の一員、槍の達人、韓国語の先生、病弱な子、裁縫の得意な学生、アニメ好きな学生などに、自分がなっている。すべて、年代と国、年齢までもが異なっていたが、父を病気で亡くし、母子家庭で、同じだった。しかも、すべてに共通して、"彼"が出てくる。中には、挨拶程度しかしないモノもあるが、ほとんどが親しい仲になった。そして、彼女は彼に、恋をする。恋が実り、結婚までした夢もあった。…悲しい別れをするモノも…。自分が寝ると、夢の中の彼女が目覚め、物語を紡ぐ。そして、夢の中の自分が寝ると、彼女が目覚めた。まるで…"異空の往来"をしているかのようで…。
見る夢で、一番多く見るモノがあった。それは、不思議な組織の一員である彼女。組織の名前は【黒の教団】…不思議なことに、この夢は三種類も見ている…。その中の一つだけ、出てくる人達を"本の中のキャラ"と言い、何でも知っているのがあった。しかし、夢から覚めると、そのキャラのことは、何一つ、わからなくなる。本当に不思議で、見るのが一番楽しみだった。なぜなら、彼も組織の一員で、初めから彼が好きで、彼との何気ない日々が幸せだったから。そして、自分のことを理解し、支えてくれる彼を、愛した。他の夢で見るような愛してるではなく、それ以上の愛だと感じた。彼の為に、夢の中の彼女は、未来を変えたいと願っていたのだ…けれど…変えられなかったと泣く。夢から覚めてしまっては、何をどう変えたかったのかなんてわからなかった。だけど…覚めた彼女も、すごく悲しくなり、自然と涙が流れた…。その悲しい瞬間にも、幸せな時はあった…彼が、自分を好きだと、愛してると言ってくれたのだ…。しかし、その夢の結末は、いつも一緒。彼との永遠の別れだった。
『どうして…なんで、この夢だけは、私が、どこかに行ってしまうの…?そして、こんなに胸が張り裂けそうなのは、どうして?(泣)』
夢は、途切れ途切れにしか見れないモノだ。だから、理由を見つけたいのにわからない。そのもどかしさが、夢への執着を加速させていた。最近になってからだが、ノートに夢の内容を、メモするようになったのだ。しかし、未だに解らず終い。
いつもと変わらない数日が過ぎた、ある日。今日も弁当作りの手伝いをしていた。そう、いつもと変わらない日常のはずだったのだが…
「結城ちゃん、野菜がなくなりそうだから、摘んできてくれるかしら」
『はぁい、摘んできます』
母親に頼まれ、彼女は、庭先で育てている野菜を取りに、外に出る…いつものこと…。しかし、野菜を摘んでいると急に、声をかけられた。
「アニョハセヨ(こんにちは)。ソニョ・ハルリュ…あぁ…羽黒 結城(にっ)…チョカ(俺が)アルダ(わかる)?」
声に顔をあげると、夢で見ていた青年とよく似た人が、笑顔で立っていた。彼は、眼帯はつけていない。
『あ…あぁ…う、そ、だよね?なんであなたが…』
彼女は、驚きと困惑の表情で立ち尽くした。それを見た青年は…
「ありゃ、せっかく韓国語で頑張ったんだけどなぁ。…なっ、結城。…チョヌン(俺は)…ノル(君を)…サランヘ(愛してる)(微笑)」
もう、いろんな感情がごった返す彼女。しかし、次の瞬間には、涙を流しながら彼に飛び付いていた。そして…
『…サランヘヨ…!(愛してます)』
二人はしばらく、抱き合っていたのだった。現れた青年は、夢に出てきていた彼と関係が?真実は、次第に明かされるのでした。
第33夜 END