ノルサランヘ~君を愛してる~

第24夜【伝説の全貌】


ユウキに場所を聞くという名目で、様子を見る。大丈夫だと言っていたが、心配だ。しかし、とりあえず探しに潜ることにする。けれど、それらしい物は見つからなかった。海は諦め、パブに帰る。すると、マスターが神妙な顔で出迎えた。

「マスターさん?いかがいたしましたか?」

「あんたら、ユウキちゃんから街のこと聞いたみてぇだな」

「あっ、はい…でも僕らは、言い触らすつもりはありません…マスターもユウキさんを攻めないでください」

「いや…いいんだ…それに、ユウキちゃんは娘同然だからな。攻めるなんてしねぇよ…特に今は…(ため息)」

「では我々に何かご用でしょうか?」

「施設のこと教えてやるよ、全部。これでも初期の研究員だったんだぜ、俺」

「本当ですか!?」

「あぁ。そして…息子を差し出した、最低の父親だ…中で何してるか、感づいていながら…」

『え?(汗)』
人体実験に息子さんを…
「あんたらの想像通りだ。…俺の息子とユウキちゃんは、昔っから仲が良くてな、一緒にパブで遊んでたんだぜ…けど、ユウキちゃんが倒れて、医者じゃ治せねぇって言うじゃねぇか。そしたらな、それを聞いた息子まで、具合が悪くなっちまったっ。そんな時に、収容所に入ったユウキちゃんが、持ち直したって聞いたんだ」

「どういうことですか?…ユウキさんの病気が治ったのって、実験台にされてしまった後ですよね?…持ち直したなんて」

「あんたらは、まだ施設の一部しか知らねぇんだよ。収容所に入って適性をクリアすると、ある注射を射たれるんだぜ。それのお陰で、悪化を防げたんだ…治ったんじゃねぇ…俺の息子も、その注射を射ったお陰で、持ち直すことが出来た…代償は大きかったがな…」

『その注射って、もしかして海水に含まれていた【エドラ】とか言う成分ですか?』

「なんだ、名前まで知ってる奴も居るんじゃねぇか。そう、その成分を見つけちまったのが、そもそも間違いだったんだっ。…俺が、あんなもん見つけなけりゃ…!」

『マスターが見つけたんですか!?(びっくり)』

「あぁ、そうだ。さっきも言ったが、俺は初期の研究員だったんだよ。まだ…研究をするだけの施設のな…」

『それが、どうして人魚を作ろうなんてことに…』

「話せば長くなるが、いいか?」
マスターは、皆を座らせ、話してくれた。始まりはマスターも産まれていないずっと昔。この街の沖には、本当に人魚が居たという。人魚とは友好関係を築き、栄えていた。しかし、一人の男の行いのせいで、亀裂が生まれ、人魚は姿を消したという。街はみるみる廃れ、活気をなくした。マスターが産まれる頃には、持ち直していたらしいが。後に学者となったマスターは、ここの海水に、他では見たこともない成分を見つけた…それをエドラと名付ける…。エドラは、不思議な可能性を秘めていることがわかり、初めは動物に投与された。すると、その動物は独自の進化を遂げ、病気も治ったという。その頃には、街全体で施設のバックアップをしていたが、マスターは、実験に不信感を持ち、研究員を辞めた。後でわかったことだが、人工的に人魚を作り、居なくなった人魚を呼び戻したかったらしい。そんなことも気づかず、息子を治療所という名目で建てられた収容所に入れてしまった。実験の停止を気に、帰って来た息子だったが、人魚になる為の治療をされていたという。街全体が、治療所が収容所だったとわかったのは、停止宣告の後だったらしい。しかも、エドラはそれ以
来、見つからなくなったと聞かされたそうだ。息子は、生活には支障がなく、孤立していたユウキと一緒に、昔みたいに遊んでいたという。
彼女が視た幼いユウキは、その頃だったんだと彼女は気づいた。
ある時、海に落ちたマスターを助ける為に、息子は人魚になり、泡となって消える。数回しか人魚になれない身体だったんだと、後でユウキから聞かされた…泣きながら…。
「だから、息子が居ない今、ユウキちゃんは俺にとって、娘同然なんだぜ(苦笑)」
この街には、マスターのように傷を負った人がたくさん居るんだと思うと、なんとも言えなくなる。しかし、静寂を許してはもらえなかった。ユウキの父親のことを伝えに来た男が、再び飛び込んで来て…
「マスター!化け物がユウキちゃんをっ!(汗)」
マスターと一緒に、言われた場所へと走る。そこにはレベル2とレベル1がいた。ユウキは気を失っているのか、レベル2に抱えられている。
「ユウキちゃん!(汗)」

『あんた、ユウキをどうする気なの!?』

「あぁ?こいつはぁ、この街で浮いてやがる異物だろ?…ぜってぇ、イノセンスと関係があんだろ(にやり)」

「彼女はイノセンスとは関係ない!!離せっ!」

「あぁ?…関係ねぇなら証拠を出してみろよぉ~」

「くっ(汗)」

「おら、どうしたよ?その格好だからなぁ。てめぇらエクソシストなんだろぉ(にんまり)」
笑うレベル2は、レベル1に総攻撃の指令を出した。各々、防御をし、反撃に出る。そんな時、レベル2がユウキを連れて、どこかに行くのを見つけた。

一人で逃げる気?追いかけないと…私だけで?…いや、アレンはアレンで戦ってるんだっ。私だけでも何とかしないと!

そう思い、一人で追いかけた。あの施設がある崖までくる。
『止まれ、アクマっ!』

「チッ、ついて来やがったのかよぉ。俺様だって暇じゃねぇんだ。証拠、探してぇんだけどなぁ(ムス)」

「証拠、見せてあげようか?」

「あぁ?起きてやがったのかよ。まぁ証拠を見せてもらえんなら、早くしてくんねぇかなぁ(にやり)」

「わかった…」

『ユウキ?(汗)』
いったい何を…
「私に海水をかけてみれば、わかるわ」

「んじゃ、遠慮なく♪」
そう言うと、アクマは海水を球体にして運んできた。彼女には、それがレベル2の能力だとわかる…ユウキは、それを教えようとしたのかもしれない…。運ばれてきた球体に入れられたユウキは人魚になった。
「ほぉ…やっぱ、特殊だなぁ。イノセンスをどこに隠してる?…答えやがれ!」

「そんな物、知らないわ」

「なにぃ?(怒)」

『だから言ったじゃない!ユウキは、そういう身体だから区別されてるだけなのよっ』

「てめぇは黙ってやがれっ!」
憤るアクマに対アクマ武器を向けるものの、ユウキは人質状態だ。人質がいる状態では、迂闊に近づけない。それに気づいたユウキは、予想だにしないことをした。それは…
「てめっ!なに・・・・・ギャァァァー!!!!(びっくり)」

『なっ!?(びっくり)』
手だけを球体から無理矢理出し、アクマをおもいっきり投げ飛ばした。到底、普通の人間が出来る芸当ではない。だからか、アクマでさえも、驚いていた。しかし、体勢を持ち直したアクマは、更に怒る。
「なにすんだっ、てめぇ!(怒)」
離れた場所にいながら、ユウキの居る球体に圧力をかけたのだ。
「うっ、く…」
これでは、水中で呼吸が出来るユウキでも、首を絞められているも同然である。
『ユウキ!!!(汗)』
…クソッ、いったい、どうしたら…
「そうだ、もっと、もっとっ、苦しめぇ(ニヤニヤ)」
彼女が悩んでいる隙にも、圧力は増していく。そして、ついに…
「う・・・・」
ユウキは動かなくなった。
「ひゃはぁー♪おっちんじまったぁ~、イノセンス探しが大変になっちまったなぁ(笑)」
動かないユウキと笑うアクマを見た彼女は、何かが切れた。
『絶対に許さないっ!(睨)』
人生で初めて、憤怒と憎悪と言うモノを感じ、殺気を放つ彼女。それに反応したのか、対アクマ武器が新たな変化を示した。
「あぁ?なんだぁ?」
何かを突くように…
『断罪ノ槍(ロンギヌス)!』
彼女が放ったのは、衝撃波で出来た槍だった。海王ノ矛(ポセイドン・ザ・ジャベリン)と似て無数に出るが、追尾しない代わりに威力がある。これは空気を圧縮して放つのだ。その衝撃波の槍は、アクマを襲う。しかし、まだ、破壊できなかった。
「ったぁ~、なにすんだっ、穴が空いちまったじゃねぇかよぉ(怒)」

『うそ…』
これだけじゃ、私は倒せないの!?…どうしたら…!(汗)

動揺する彼女の耳に、死んだと思われていた、ユウキの声が聞こえてくる。
「ソニョ…私は大丈夫…落ち着いて。あなたならきっと、倒せるはずよ」

『ユウキっ(汗)』
そうだっ、落ち着け、私…何か手があるはず・・・・・あっ!
「殺れるもんなら殺ってみやがれってんだ(にやり)」


初めて一人で、レベル2と対峙する彼女だった。彼女が思いついた方法とはなにか?相手の能力を逆手に取ることなのでした。


第24夜 END