ノルサランヘ~君を愛してる~

第6夜【現状整理と団服と……】


ラビが任務に行って二日後。今日も彼女は、修練場で槍の稽古をしていた。

『はっ!…はぁ…!はっ、はっ!やぁ!』
運動神経の乏しい彼女は、剣道すらやったことがない。刀とて、そう簡単には上手く立ち回れないのに、槍などもっと無理だ。だからこそ、毎日、稽古をして、上手くなろうとしている…ある決意の為に…。
彼女が、ここに来て6日がたつ。彼女はよく、考えた…自分はなぜ、ここに居るのか…。最近になって、ここは本編とは違うパラレルワールドじゃないかと思い始めていた。作者が頭で一度は考えた設定じゃないかと。初めに出てくる女のエクソシストが、リナリーだけなのも不自然だからだ。どっかの異世界から来たなんて設定はないだろうけど、私みたいな女のエクソシストがいた可能性はある。だからこそ、私はイノセンスに選ばれ、エクソシストになれたのではないかと。設定にないのは、私はここの未来を知っていることだ。だとすれば、少なからず、未来を変えたいと思っている。…ラビとダグの未来を…。
『そんなこと…私に出来るかな…(ボソッ)』
私の知っていることを話せばいいのかな?…異世界から来たことは信じてもらえた訳だし…

そんなことを考えていた時。
「ソニョ。また、ここに居たのね。稽古もいいけど、ちゃんと体も休めないと(苦笑)」

『あっ、リナリー…ごめん…でも、早くこれに慣れておきたくて(苦笑)』

「もう大丈夫じゃない?…ちょっと見てたけど、だいぶさまになってたわよ(微笑)」

『そうかなぁ(苦笑)…ところで、何か用だったの?』

「うん。団服の調整が終わったから、呼びに来たのよ。今度こそ、大丈夫だと思うわ(笑)」

『そっか(笑)』
リナリーと一緒に修練場を後にする。実は、彼女の団服は昨日、出来るはずだった。しかし、リナリーと似たようなスカートでは逆に、動き辛い事がわかり、作り直す事になったのである。それがやっと、出来上がったようだ。司令室へとやって来た彼女。そこでは、コムイ室長が机に突っ伏して寝ていた。
「あら…さっきまで起きてたのに…」

『しかたない、起こすか』
そう言ってコムイ室長に近づき、耳元で囁く。
『室長、リナリーが結婚するって』
ガバッ!
「リナリぃー!…僕に黙って結婚なんて酷いよぉ~!(泣)」

『おはようございます、室長』
ホントに、あれで起きるとか…どんだけシスコン室長なんだよ…リナリーも大変だなぁ
「・・・・・ゴホン(汗)えぇ…ソニョくん?…団服が出来上がったから、試しに着てみてくれるかな?」

『はい、わかりました』
渡された団服を持って、近場の誰もいない部屋に入り、団服に着替える。そして、着替え終わると再び司令室に行った。
「どうかな?…動き辛くないかい?…半ズボンにしてみたんだけど」

『大丈夫みたいです。前のより断然、動きやすいですよ(笑)』

「それなら良かった(微笑)」

『…これの中に着れるようにしないとなぁ…』
キャミソールみたいにすれば大丈夫かな?
「あ、もしかして作る服のこと?」

『うん、ほとんど出来てたんだけど、団服に合わせようと思って、作業を中断してたんだぁ』

「じゃあ、これで仕上げが出来るわね(微笑)」

『うん♪(にっ)』
一旦、私服に着替え直して自室へと帰る彼女。

これでやっと…エクソシストとして任務に行けるんだなぁ…大丈夫かな?心配になってきた(汗)

平々凡々で運動神経も平均の彼女は、アクマの攻撃を避けられる自信がなかった。見分けも出来そうにない。だから、自分は直ぐにでも死んでしまうのではないか?という不安が拭えなかった。

こんな世界だったんだよね。私はわかっているようで…全然わかってなかったんだ…みんなが死の境地にいることを

ここに来て、多くの死の報せを聞いたのだ。だから、ただの上っ面な読者だったことを、彼女は悔いていた。
自室に到着した彼女。

この部屋…初めて入った時も思ったけど…見覚えがあるんだよねぇ。どこで見たか思い出せないけど

そんなことを思いながら、服作りの仕上げをする。それから時間が過ぎ、夜がやって来た。

コンコン

彼女の部屋をノックする音が響く。
『はぁ~い、誰ですかぁ?』
そう言いながら、ドアを開けた。するとそこには…
『ラビ!?(びっくり)』

「よっ♪帰って来たさぁ(にっ)」

『え?…は、早くない!?…もっとかかるはずじゃっ(汗)』

「あぁ~…そのことなんだけど…話せば長くなるさ(汗)とりあえず、現地からとんぼ返りで、ここに居るんさ(苦笑)」

『そうなんだ(汗)…あっ、そうだ!…私の団服、出来たんだよ♪ちょっとそこで待ってて(にっ)』
そう言って、一旦、自室のドアを閉め、ラビを廊下に残す。彼女は団服に着替え、再びドアを開けた。もちろん、先ほど完成した服も中に着ている。
「おぉ、なかなかさまになったなぁ、エクソシストみたいさ(笑)」

『なにをぉ!私はこれでもエクソシストだもん(ムス)』
わざとらしく怒ってみせる彼女。そして…
「『・・・・プッ、あはは…(笑)』」
廊下で二人は笑った。先に話を切り出したのはラビである。
「あのさ、ちょっと気になったんだけど…まさか…団服の下、何も着てないとか言う?(汗)」
肩が出ている団服な為、普通の服は着れないと思っての質問だろう。そんなこと、彼女はすぐにわかった。しかし…
『ピミリエヨ(秘密です)♪…ご想像にお任せしますよ(にっ)』

「え"ぇ"!?(汗)」

『あはは…(笑)う・そ♪…ちゃんと着てるよ(にこり)』

「脅かすなよなぁ(ため息)」

『ごめん、ごめん(笑)…ほら、ご覧の通り、ちゃんと着てるでしょ?…さすがに、素肌の上からは着れないよ(苦笑)』

「だよな(苦笑)…てか、それって…あの布で作った服さ?お前に巻かれてた」

『そうだよ。リナリーから聞いたの?』

「チッカム。直感さぁ(笑)…ていうのは冗談さ♪俺は見たものは忘れないから、すぐにわかったさぁ~(にっ)」

『あ、そういえば、どんな些細な傷でもついてたか、ついてなかったかまでわかるんだよね。その目があったからブックマンになることを決めたんでしょ?』

「あはは…ソニョには嘘つけねぇなぁ(苦笑)…なんでもお見通しさ」

『そうでもないよ(苦笑)』
人の心までは…私でもわからない…


そう、人の心など、誰もわからない。すべてが本心なのか、偽りなのか…その心に触れてみないことには…。
彼女の憧れの世界は、そんな甘いものではなかった…わかりきったことのはずだったのに…彼女は今さら自覚した。また、彼女の行いは達成できるのか?その前に、未来について彼女が言うという行為の先に、何が起こるのかなんて、知るよしもないのでした。


第6夜 END