「幸せの鳥なら南に飛んで行くのを見たぜ」


『ありがと』

そう言って、次の聞き込みへ向かう。


「第一区で見ましたよ」

「わかった、ありがとな」

こちらも、礼を言って次の聞き込みへ向かった。


「朝方だったけど、この通りを飛んでたわ」

「ありがとうございました」

聞き込みで幸せの鳥が飛んでいたルートを探っているのだ。


「第三区方面に向かったぜ」

「ありがとうさぁ」

確実に、イノセンスへと近づいていると思われた矢先、奇妙な人だかりを見つけた。

「なんさ、なんさ?この騒ぎわぁ」

「あぁ若いの。ムゴイ事するヤカラも居たもんだよ、まったく」

「これはっ!(汗)」

「…酷いですね…」

「また、鳥の連続殺害の被害が出ちまった!街の奴なら俺のように、この街に誇りを持って生きてほしいぜっ!」

『…なんで…。…あんなに引き裂かなくてもいいだろうに…』

「イノセンスが、体のどの部分にあるかわからなかったからですよ、きっと」

「だからって、ムゴイさぁ」

『ちょっと待ってくれ。なぁ…これって、アクマの行動としておかしくないか…?』

「そういえば、そうですね。アクマなら、派手に人を襲ってレベルを上げますし。僕達に隠れてこそこそしませんよ」

『だろ?』

「アクマのレベルがかなり上って可能性もあるかもな」

「レベル2から自我が芽生えるからな、その上ならありえるさ」

「あるいは、他に協力者がいるかもしれませんね」

『金の為ならなんでもする、千年伯爵の駒…ブローカー…だな』

「はい。最近はますます、その数を増やしているみたいです」

「僕からしたら、理解に苦しむぜ」

「右に同じさぁ」

「お話中のところ、申し訳ございません」

『トマ、ライルについて何かわかったか?』

「はい。ライルという人物は、1年前に妻を亡くされ、ずっと引き込もっておられたようです。そして、3ヶ月前に突然、旅行に行ってしまわれ、2ヶ月も家をあけていたそうです」

「そんで帰って来たかと思えば別人さ?…こりゃ、使用人はビックリさぁ…」

「実は、使用人の方々はそれほど、気にしていないようです」

「どうしてですか?」

「妻を亡くした悲しみが吹っ切れ、明るくなられたと、逆に喜んでいる方々が多数のようです」

『なんだそれ(汗)』

「別人になっちまったのに、明るくとか(汗)」

「別人になられた主人を不気味に思っている方もいるようなのですが、その屋敷を追い出されたら行く宛のない方々で…辞めるに辞められないようでした…」

「なるほどな…また…厄介な主人さぁ」

「『…ラビ…』」

「ん?…どしたんさ?…ふたりして」

「『いや…なんでもない…』」

『一先ず、そのライルって奴に、一度会っといた方が良さそうだな』

「あぁ」

「そうですね」


こうして、ライル邸へと向かう。

ミカエルとガブリエルが、ラビを気にしたのには、理由がある。それは…似たような境遇の使用人とその使用人と仲良くなってしまったファインダー…ふたりの死を経験していたからだ。
このファインダーとは、ラビ経由でふたりも仲が良かった。だからこそ…信じられなかった…ファインダーである彼が悲劇を生んでしまった事が。
その最後をラビが"看取った"。
正確には、"アクマ"を破壊した。

悲しいはずなのに、それを見せないラビ。ブックマンの後継者だから関係ないなんて、思えない…だって…ふたりを見てると、兄弟がじゃれてるみたいで、暖かかったんだから。
きっと、心のどこかで考えてた…だから…あんな影のある言葉を言ったんだ。

だから思わず、ラビに声をかけていた…この使用人は大丈夫だと言いたかったんだろう…。
主人に殴り殺される事はない…悲劇を生む人もいない…と。