今回は「ELEGOO MARS UV 光造形式 3Dプリンター」を使ってNゲージの貨車を作ってみました。
これまでの経験で、3Dプリンターの問題点に関する対処法が分かってきた気がするので、今回は実在の車両を作ってみる事にしました。
貨車と言ってもイロイロあるのですが、二軸貨車では最も有名と思う「ワム80000」を作ることにしました。
当然、市販製品が存在する車種なのですが、単純に材料費で考えれば一両100円以下なので作る意味はあると思います。
フリーソフトのCADで設計しました。
曲面がほとんど無いので、面倒くさいけど難しさはありません。
まだまだディテールが足りないのですが、とりあえずこのデータで印刷する事にします。
三つの部品に分けて印刷する事にしました。
ボディは一体で、下回りは左右に分割する事にしました。
連結器と車輪はジャンクパーツを流用します。
要するに、分割された下回りで連結器と車輪を挟んで、ボディにハメ込む構造です。
この構造なら接着無で組む事ができます。
印刷に進む前に、毎回悩まされている歪みについて復習します。
上画像のように、水平に長い物を印刷すると両端が反りあがります。
そこで、長手方向を上下方向にもってくれば良いと考えて試したのが上画像です。
歪み対策としては好結果でしたが、3Dプリンターは積層していく物ですから印刷時間は長くなります。
あと、サポートの付く面はデコボコした造形になります。
上は乗用車を印刷した時の写真ですが、後面にサポートを付けたくないとの理由で45度の傾斜で印刷しました。
これは意外に好結果を得ました。
その他、上写真のように開口部があると歪みやすくなるようです。
鉄道模型の場合だと、窓の多い旅客車両は難しいかもしれないと感じています。
復習はこのくらいにして、ワム80000印刷にすすみます。
下回りから行きます。
毎回歪みに悩まされているのですが、前回のスイフトの時に好結果を得たので45度傾斜させて印刷してみました。
下回りは一発で成功です。
ボディも同じように印刷しました。
まあ横から見る限りは及第点です。
でも下から見ると膨らんでいます。
最初の印刷は左の物です。
まあ、このままでも力ずくで接着すれば良いんですが、対策してみる事にしました。
中央のは縦に仕切り板を入れてみたのですが、これは最悪です。
膨らみが抑えられないだけでなく、側面が波打ってしまいました。
右側は底板を付けてみた物で今回の決定版です。
組んでみました。
ついでに牽引ですが走行テストも行いました。
まあ、R243は問題無です。
塗装しました。
ボディ色は、カトー製品を参考に自家調合しました。
白の色サシはアクリルガッシュを筆塗しました。
次はデカールを作ります。
デカールはアルプス電気のMD1000プリンターで刷ります。
このプリンターには白インクがあるので重宝します。
後継機種のMD5500も持っているのですが、旧式であるMD1000の方がクッキリと印刷できるので、こればかり使っています。
それから、これらのプリンターはwindowsXPまでしか対応ドライバーがありません。
接続もパラレルポートです。
まあ、どちらにせよ既にインクカートリッジの生産は終了していますので、これから買うのはお勧めできないと思いつつも、代わるプリンターが無いので何とも言えません。
印刷データの製作に進みます。
フォトショップ等の画像編集ソフトを使います。
私の場合、何かのオマケでついていた古いフォトショップをつかっていますが、GIMPのようなフリーソフトでもできます。
私の場合、実物や模型の写真を加工して作ります。
単色刷り時のプリンター解像度が600dpiなので、その解像度で刷った時に目的の大きさになるようにします。
具体的には、デカール化したい部分の画像を拡大又は縮小して、モノクロ二階調に変換して、ブラシツールで形を整えます。
上画像は、今回の印刷に使ったデータです。
自作デカールを貼って、艶消しクリアーでトップコートしました。
連結器は、見栄え重視でナックルタイプ(シンキョウカプラー)の物を付けました。
カプラーポケットは標準的な形にしたので、それに対応できるタイプなら無加工で取り付け可能です。
これで完成です。
反対側です。
本来は同じはずなんですが、中央のドアロックハンドルが左右逆になってしまいました。
2両目を作る時は要修正です。
上写真は市販製品との比較です。
上下段とも左側が今回の自作品です。
上段右側はカトー製品です。
ディテールでは全く敵いませんがカトー製品は背が高過ぎますので、遠目に見れば自作品の方が良く見えるかもしれません。
あと形状的に初期型っぽいので280000番代の車体番号は違うような気がします。
下段の青いのはトミックス製品です。
スライドドアの上側レールが端まで伸びているので後期生産型ですね。
全体にディテールが甘いので、もう少し頑張れば同レベルの物が作れそうな気もします。
機関車と連結しようと思ったのですが、連結器がちがいます。
先ずデコイチの連結器を交換します。
昔のカトー製品のアメリカ型についていたのと同形状のナックルカプラーが交換パーツとして用意されていました。
因みに、このデコイチは私の買った最後のNゲージ製品です。
この後は部品すら買っていません。
2010年購入です。
この時期は既に鉄道模型への興味が無くなっていたのですが、リニューアル品のデコイチは買わずにいられませんでした。
この製品は、動態復元後である現在の姿であり、本当に欲しかったのは現役当時をイメージした製品だったのですが、最初に発売されたのがこのタイプであり標準型発売を待つ辛抱がありませんでした。
後に標準型と称す製品が発売されましたが、僅かなディテール差異の為に一万円以上の出費をする気にもなれないので買わずにいます。
連結出来るようになったので繋げてみました。
遠目に見ると運転室屋根と比較出来るので、カトー製ワムより実感的に見えると思います。
国鉄時代の電気機関車と言う事で保管場所を探してEF60特急色を引っ張り出してきました。
短期間ですが、この塗色のまま貨物列車を牽いていた時期もあります。
EF65のプロトタイプみたいなデザインがダサ格好良いです。
上写真のとおり付属のナックルカプラーは横長でヘンテコな形です。
こいつは付けたくないなあ。
カトー製アメリカ型用ナックルカプラーの分売品を買った記憶があるのでジャンク箱を探して見つけました。
デゴイチの付属品と同一形状ですが、鉄製のピンが付いています。
これは、アンカプラー線路を使って解放と突放をする為のピンです。
こちらも連結できるようになったので繋げてみました。
上段がカトー製、下段が自作品です。
しつこいですが屋根の高さに注目です。
まあ私的には及第点以上の出来になりました。
今回のフォーマットは、我ながら秀逸な物と思うので他車種の有蓋貨車も作ってみようと思っています。
今日はここまで。