交通の便と音楽文化についての考察 | Official Blog and Information “MY DUSTY ROAD”

交通の便と音楽文化についての考察

俺は愛知県名古屋市の南東部、ほとんど郊外ともいうべき場所に住んでいる。



我が家から車で40~50分。


愛知県刈谷市という町に「サンダンス」 http://sundy.jp/shop/index.html  というレストランがある。



この店、ハンバーガーとスペアリブが名物のアメリカンフードをメインにしたレストラン。


店の奥には広めのステージがあり週末には地元のアマチュアバンドのライブが行われる。


まれにアマチュアのみならず有名無名問わずプロミュージシャンのライブもある。



俺も何度かこの店で歌ったことがある。


店のマスターもこの上ないほど気さくないい人でとても好きな店だ。




さて、この店。


公共の交通機関で行くには実に不便な場所にある。


一番近い駅(名鉄という私鉄で名古屋駅から30分くらいの駅)から歩くにも30分近くかかる。



そのかわり駐車場は広い。


バイパスから少し逸れた国道(県道?)沿いにあるので車で行くには便利な場所だ。




我々のようなミュージシャンのライブのお客さんの動員。


会場の立地にかなり影響される。



不便な場所でやるというとまず躊躇される。


そして・・・、来ない。



例えば浜田省吾さんや長渕剛さんがやるとなれば御嶽山の頂上でも行くだろう。


しかし我々はそうはいかない。


だから会場選びも地下鉄沿線が最優先になる。


車でしか行けないような会場は極力避けるということになる。



東京なんかだと鉄道がかなりの範囲まで充実しているし深夜まで運行しているのでまた条件は変わってくるのだろうが他ではそうはいかない。


この国にはどんな小さな街にもクレイジーなほど車の量がある超車社会にもかかわらず交通の便にこだわる人が多い(まあ、断り文句なんだろうけど)。




お客さんが来ない店にはいい歌い手も来ない。


いい歌い手が来ない店にはお客さんが来ない。



こうして中央集権社会が確立されていく。



「国道沿いのいかしたライブレストラン」なんて成り立たない。



これでは音楽が文化として成立もしない。


この国では音楽が「商品」にしかならないのはこういったところにも理由があるんじゃないかと思う。





アメリカなんかだとたとえばニューヨーク州の聞いたこともないような町のハイウェイ沿いに古いライブハウスがあったりする。


そんな店がアメリカ中にある。



今回の旅で出会ったウイリー・ナイルやスティーブ・フォーバートなんかはこういった店でもライブをやる。


ランブリン・ジャック・エリオットやレボン・ヘルムといった超がつくような大物もやってくる。



そこに周りの街から(その多くが中年の)音楽ファンが車に乗ってやって来てライブを楽しむ。



ライブチャージも20ドルから25ドル。


下世話な話しだがミュージシャンの身入りも大したことないだろう。



それでもミュージシャン達は歌いに来るしお客さん達は聞きに来る。



ミュージシャンとお客さん、そしてライブハウスといった三位一体となった「音楽文化」がそこにはある。





確かに我が国の音楽シーンにも皆無というわけではない。


ささやかな少数派ではあるが「文化」としての場もある。



もっともっとミュージシャン達もお客さん達も、そしてライブハウスも。


音楽に携わる全ての人達が「音楽文化」を意識できるようになるといいのだが。





先に書いた「サンダンス」のような店にはがんばってもらいたい。



年明け1月、俺も歌いに行く。


車に乗って来てほしい。