お話
話の全容を理解した王は、緊張が解け、全身の力が抜けていくのを感じた
暫くの沈黙の後、口を開く
「良かろう。善処しよう」
王はそう言いかけて、一瞬の間を置いた後、突然こう切り出した
「但し、幾つか条件がある」
予期しなかった王の言葉に、チェ・ヨンの眼光が揺らぎ、鋭くなる
「お伺いいたします」
チェ・ヨンは瞼に力を入れると、改まって王を見つめ、次の言葉を待った
目の前の男の企みは圧巻だった
その上、チェ・ヨンそなたのために、余が舞ってやるのだ
「まず第一に、そなたが此度迎える妻に、王妃の話し相手になって欲しい」
一体、何を言い出されるのかと、小さく身構えたチェ・ヨンだったが、王の言葉で一気に気勢がそがれる
「チョナ・・・」
王は明らかに拍子抜けしたような表情をした、チェ・ヨンが可笑しくて、肩を小刻み振るわせて笑う
この程度、そなたに意地悪い事を言って返しても、ばちは当たるまい
驚いた顔をしたチェヨンを横目に見て、してやったりと、どこか気を良くし、王は話を続けていった
「あれは元の女子だ。ああ見えて気が強くて敵わぬ。高麗の慎ましやかな子女らでは、気が合わぬようでな」
「チョナ・・・」
「そなたが妻にと考えた女人であれば、並みの女子ではないのだろう」
「チョナ・・・」
チェ・ヨンは肩すかしを食らい、冗談交じりの王の言葉に、返す言葉が見つからない
「しかし王妃の話し相手が、何も持たぬ側女では体裁が悪い。これは困った事だ」
「チョナ・・・しかし」
「分かっておる」
「ならば」
「チェ・ヨン。いつか話したことがあったが、余は官制を改めようと思っておる」
「以前、お伺いしました」
「我が国の官制を廃止し、新たな制度を定めようと思っておるのだ」
王は元の支配下で古くから続いた、官制の廃止と新たな制度を考えていた
「どうだ?チェ・ヨン。王妃の友という身分でも、設けようか?」
王はくるりと丸く、おどけた目をして、口の端に笑みを浮かべた
「チョナ・・・」
「そなたの第二夫人の処遇は、それなりの物を考えておる。そなたのためではなく、王妃の体面を保つためだ。甘んじて教授せよ」
「チョナ・・・」
チェ・ヨンは王の心遣いに胸を打たれ、ほうと息を吐いて、薄らと笑みを浮かべた
「武官の私には、官制の事などはよく分かりませぬ。ゆえにそう言った事は、全てチョナにお任せしたく」
王がやり返えさんと一打を与えれば、チェ・ヨンはそれに応え反撃をする
「そうか」
今では遠い昔の事に思える、懐かしい思い出も蘇り、さらに笑いが込み上げてくる
ついには堪えられなくなって、王の口許からは笑い声が漏れた
「次に、そなたの第二夫人は、ただの女人とはいえ、天から賜りし尊き身だ」
チェ・ヨンも満面の笑みを浮かべる
「はい」
「これは困った。天から賜りし、その夫人と同じ序列に並べる女人はいまい」
(どうせ、そなたの事だ。他の女人を妻に迎える気はないのだろう?)
「正妻は既に亡くなっており、他に、妻にと続ける女人も居らぬとあらば、チェ家の家督はどうなる?」
「それは・・・」
そこまで求めるつもりなかった
「いずれ余も子を授かろう。そなたにも子が出来れば、忠臣となり、我が子に仕えて欲しいと思っておるのだ」
これから産まれる我が子の事は気がかりであったが、元の支配から脱し、時代が変わった事を肌で感じていた
それは、『天界にあの男の女の物語が語り継がれているのか』 と、ウンスに聞いた時に、薄々感じた事だ
天界には語り継がれていなかった
それが意味するのは、この計略が失敗に終わるか、はたまた、この先大きく時代が遷り変るかいずれかだ
そして計略は成功した
そうなると、考えられるのはこの先、時代が大きく動くと言う事だった
子の将来に不安は残るものの、時代が遷り変れば、すべてが変わる
そういう世知辛い世の中だ
昨日まで飛ぶ鳥を落とす勢いだった者が、翌日には牢で手足を繋がれる事もある
いずれ考えねばと思っていた事だったが、今はまだ時期早々だと思っていた
こんなにも早く王が考えて下さるとは
「余はこの先、身分の上下を問わず、能力のある者を重用しようと思っておる」
本当に、立派になられた・・・
王との間に見えない何かを感じて、チェ・ヨンの胸は熱くなった
「とはいえ、そなたの夫人が、それなりの処遇であるに越したことはあるまい」
「チョナ・・・」
「逸れにその女人は、天から授かりし尊い身だ。チェ家の家宝とし、大切にせねば」
「チョナ・・・」
「そなたの妻ユ・ウンスを、チェ家の正妻と同じ扱いとし皆貴ぶよう。これは王命だ」
(どうだ、チェ・ヨン)
(チョナ・・・)
「余が我が子の将来を考えての親心。受けてもらわねば、余が困るのだ」
「王命謹んでお受けいたします。臣チェ・ヨン、生涯、変わらぬ忠誠を。それは我が子も同じでしょう」
(余からの褒美だ受け取るがいい)
(チョナ、謹んで賜ります)
この恭愍王と、チェ・ヨン、この二人の間に築かれた深く強い絆は・・・
チェ・ヨンが李成桂により、死を迎える事になるその瞬間まで、生涯続くことになる
※史実
恭愍王
1356年 元の年号(暦)・官制を廃止します
ウンスが高麗に来たのが1351年、1年位過ごして、4年後に戻ってきますので、ちょうど1356年頃です
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こんにちは
まず始めに、ロータッチ会
真に受けないでください~、りおですよ?? ←ミノ君がハイタッチ(上のほう)ならば、ヨンはロータッチ(下のほう)でしょう
ただ、それだけです
1年前にも同じ記事を、ブログに載せたってだけなので、それを知らなくても↑↑↑
ミノ君のハイタッチ会に1000人集まるなら、ヨンのロータッチ会には・・・・
腫れちゃう
今日がおまけのお話で、近いうちに、おまけのおまけをアップしますね