ウンスが安心しきったその時…
追い打ちをかける出来事が起こる
「ウンスぅ~私よ、私。もう準備出来た?待ちくたびれちゃったわ」
入口の方からよく知った声が聞こえてくる
本当に最悪だ…ウンスの心の中で、悲痛な叫び声がぎゃーと響き渡った
「ね~遅いから待ちきれなくて、迎えに来ちゃった♪あんた、めかし込んでも、どうせ私には勝てないわよ~」
ウンスもチェヨンも顔を見合わせた
二人は違った理由で、その黄色い声の主に愕然としたのだった
「ねぇ、いるんでしょ?入るわね~」
その声の主が、こちらの返事も待たずに、屋敷の中へとずかずかと入ってくる
部屋の戸口を開けた途端、その女性?は…
「げっ」
と大きく声をあげた
わなわなと顔を強張らせた、鬼の形相のチェヨンが、その女性を睨み付けていた
「やっ、やだ。ヨン。あなた何でいるの?ウンスが今日は留守だからチャンスだって言ってたのに…」
はぁぁぁ…
ありえない…オンニったら、今とっても余計な事を言ったわね
せっかくいい感じだったのに、オンニの登場で、全部台無しじゃないの
ウンスは白い衣を身に纏った女性?を、「パボ」と口真似をしながら睨みつける
白いオンニは、何の事?と小首を傾げる
駄目だオンニったら、この状況の深刻さを全然分かってないわ
「イムジャ!!どういう事です!!なに故、こやつがイムジャを迎えに来るのだ」
いい感じに消火寸前だったはずの、蛇チェヨンの怒りが急加速する
「えっ、ほっ、ほら、オンニもファッションショーに出たいって言うから仕方なく」
再び蛙は窮地に立たされた
「あら、ウンスなに言っているのよ。あんたが誘ったんでしょ!」
「アハハ、オンニったら~、あな~た。何をとち狂った事をいっているのかしら?」
とにかくここは白いオンニのせいにし難を逃れようと、猫なで声を出してこの場の空気を読めと威嚇する
ウンスの表情にぴんとくる
「あっ、そっ、そうよ。ほら、春だし」
それは咄嗟に出た言葉だった
イムジャだけでなく此奴まで、春だからなどと下手な言い訳をしやがって…
「春だから何だ?だから、お前のようなおかしな者がのこのこと現れるのか?」
チェヨンの表情がすっかりと凍りつき、口の端がぴくぴくと痙攣をしている
あら、相当おかんむりだわ
「やだ、ヨン。あんた本当に口が悪いわね。暖かくなってきたから、可愛いファッションを楽しもうかなぁ~なんて 」
やっとこさ状況の深刻さを理解し、白いオンニがウンスに話を合わせた
それはチェヨンの怒りの炎に、油を注ぐようなものだった
「何が、ちゃんす、ふぁっしょんだ。腹立たしい!そんな言葉ばかり覚えやがって。今すぐ帰れ!出て行け!」
「ヨンァ、酷いじゃない」
オンニを追い返そうとするチェヨンの前に、慌てて立ちはだかるウンス
「あら、ヨン酷いじゃない」
白のオンニもウンスの横に、堰を作るかのように立った
そして、二人手を合わせ、目の前の強敵チェヨンと対抗をしようとした
「黙れ!! 先程イムジャは、確かに女だけだと言ったな?」
「う…」
ウンスは痛いところをつかれた
一歩、二歩と後ずさりをし、返す言葉がなくその場で固まった
「……言った…っけ?」
「言いました!!」
「だっ、だってオンニは女よ」
「そうよ、ヨン。私は体はナムジャだけど、心は乙女よ」
白のオンニが唇をちゅぱっと突き出した
その仕草が苛立ちをさらに増大させる
チェヨンはいきなり壁にある鬼剣を取り上げ、素早く鞘を抜き取ると、白のオンニの目の前にその剣先を突き付けた
「ちょっと、ヨンァ止めてよ」
ウンスが慌てて止めに入る
「ちょっと、ヨン。分かったわよ。だけどこのまま帰るなんて、何か不服だわ」
白いオンニがぶつぶつ文句を言うと、ウンスが今度は白いオンニに食いかかった
「オンニ、ちょっと諦めないでよ」
「ウンス悪いけど、この人がこうなったらもう私の手には追えないわ。私だって命が惜しいもの…」
唯一の頼みの綱だった、仲間にあっさりと裏切られたウンス
唇を歪ませ泣きべそをかく
孤立無援の蛙の姿だ
「でも、此処まで来て、ただで引き下がるってわけにはねぇ。ヨン?」
白いオンニはチェヨンの肩を、骨太の指先を厭らしく舞うように動かし、ツーと撫であげようとするが…
チェヨンはすかさず身を翻し、再び手に握る鬼剣の剣先を突き付けた
「分かったわ、分かったわよ」
冗談よ冗談。斬られては元も子もないと、白のオンニは引き下がる
「いいだろう。ただでは引き下がれぬと言うならば、お前にこの衣をやる」
チェヨンは鞘を床から拾いあげながらそう言うと、視線をウンスにやり顎先をくいとさせ、身に纏う衣を指示した
「えっ、いいの?」
白のオンニが浮かれた声を出す
「ちょっと、何よそれ。私の衣装よ。二人で勝手に決めないでよ」
ウンスが二人の間に割って入るが、チェヨンに肩を引かれ押し出されてしまう
このような、ふしだらな衣が手元あるから、イムジャが馬鹿げた事を思いつく
ならば、このような元凶となる衣は、こいつに持って行かせればよいのだ
憎らしげに、ウンスの服を睨み付けた
「しばし表で待っていろ」
チェヨンはそう言うと、先ほど鞘に納めた鬼剣を何度か振り上げ、追っ払うように白いオンニを屋敷の外に出した
とっても嫌な予感がする
ウンスは自分の置かれた立場が弱い事を、今までの経験から即座に悟った
チェヨンは戸口に向けた大きな体を、ゆっくりとウンスの方に向けた
まるでスローモーションのように見えた
蛙が蛇に命を奪われる瞬間だ
今度は自分に向けられた鬼の形相にびくっとし身を固くすると、引き笑いを浮かべ恐る恐る顔色を窺うウンス
「あはっ」
目の前の人のご機嫌を窺う様に、頬を上げにっこり笑顔を向けてみる
全く反応がない
「あはは、ヨンァ…」
再度これでもかと笑みを作り上げる
しかし表情一つ変えやしない
チェヨンは黙りこくったまま冷たい視線で、ずかずかと歩み寄ると、有無を言わせず逃げようとするウンスを捕えあげた
そして、腕の中で暴れるウンスを、寝台へと連れていったのだった
「ちょっと、あぁ~やだ~!!脱がさないでよ~駄目よ。いやーーー!!あん、あっ止めてってばぁ」
ついに襲われた。ウンスの悲しい悲鳴が、今日も屋敷に大きく響き渡った
数分後の事
ハァ…ハァ…ハァ…
全身の身ぐるみを剥がされた可愛そうな蛙
ヨンァったら酷いわ
胸当てに下穿きまで取る事ないじゃない
おまけにその脱がされた服を全部、取り上げられてしまった
こんなの卑怯よ、人質ならぬ衣質だわ…
ウンスは布団を体に巻き付けて、まずは荒いだ息を整えていた
奪い取った天女の衣を、鼻先でふんと息を吐き、忌々しそうに見つめるチェヨン
その元凶の衣を、外で待つ白いオンニに引き渡そうと立ち上がった
その時チェヨンは、目を大きく見開いた
衣が空気に舞うと同時に、ウンスの残り香が、ふわりと鼻先を掠めたのだった
意識をそこにやると、脱がしたばかりの衣は、ウンスの肌の温もりが残っていた
チェヨンはある事に気づく
くそっ
イムジャの残り香と、温もりのあるこの衣を彼奴にやるだと??
駄目だならぬ
俺は何を…血迷う所であった
冗談じゃない、あいつはナムジャだふざけるな。何処の顔して女だと言える
彼奴にイムジャが纏った衣を渡すなど、考えただけでも身が震え悍ましい
しかし頭に血が上り彼奴にこれをやると、俺は先ほど約束をしてしまった…
さすれば、どうするか…
頭の中で代替え案を模索すると、ある一つの案が思いついた
仕方あるまい
背に腹は変えられぬ
チェヨンはウンスの衣を褥の上に投げ捨てると、少し離れた場所にある戸棚よりある物を手に取った
「イムジャ、ここで待っておれ」
後ろを振り返り、厳しい口調で言い放つ
まぁ何よ、偉そうに!!
唇をつんと尖らせ不平顔のウンス
「あぁ、そうだ。イムジャ、衣を纏わずそこで俺が戻るのを待つように。一歩たりとも動いてはなりませぬ」
さらに、そう言い付け加えた
「ちょっと!何よそれ!何で服を着ちゃいけないのよ!!」
叫ぶウンスをひと睨みすると
チェヨンはその後は叫び続けるウンスを振り返りもせずに、そのままある物を持って外へと出ていったのだった
明日で完成です♡
もう今回は書いてあります。チェヨンは何を白いオンニに渡すでしょうか?
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