ブログってなんだ。やはりこれが頭から離れない。
「まあ、近況報告みたいなものだよ」
今日の高校の帰り道、彼女はそう言っていた。本当を言うと、今一つ理解出来ていないのだか、彼女はいつも通りに「また次回ね」という口癖のような言葉を残し、帰っていった。
彼女とは、付き合っているわけではない。ただ、家が近所だからってことで一緒に帰るようになった。小学校からずっと一緒だったんだけど、まともに関わったのは、これが初めてだった。
とはいえ、ちゃんとした会話が始まったのは、共に下校を初めてから三日目くらいからだった。彼女の声を、第一として。
仲良くなる前もなったあとも、「バイバイ」などと言ったことのない彼女は、「次回ってなんだよ」という、いつも通りの僕の突っ込みに可愛らしく笑いながら、第一として。だけどちゃんとその後ろ髪に「バイバイ」の雰囲気を残しながら、角を曲がった。
「・・・・・・近況報告って言ったって、何を書けばいいんだ?」
思わず言葉が漏れる。
そもそも、僕の近況なんか知って、何が面白いんだ?「あっそ」で終わるのが目に見えているじゃないか。
溜め息をつきながら、彼女のブログを開いてみた。
『お星さまに乗って、遠い遠い惑星まで旅をしたいな。きゃぴきゃぴっ☆』
ふざけてんのか、こいつは。
確かに以前から変わった奴ではあるが、ブログという公場でこんな発言をするなんて、痛すぎるぞ。
そんなことを思っているうちに、彼女のブログが更新された。
『宇宙には何か居るかな?あ、ピッコ□とか居たらいいなぁ。』
何故〇ではなく□を使った。伏せ字の意味ないじゃん。
短時間で更新される彼女のブログ。また新たに、投稿がされた。
『お星さまに乗るの、楽しみだな。よしよし、お星さまが迎えに来る時間に合わせて、今日は早めに眠ろう。』
それに続く一言を見て、僕は家を飛び出した。
ああ、そうか。星に乗って旅をするって、そういうことか。
・・・・・・馬鹿じゃねーのっ!
途中、雑に履いていた靴が片方脱げて、だけどそれを拾ったりはせず、僕は走った。
――彼女の家まで、走って三分も掛からなかった。
インターホンを押す。手が震えて、何度も鳴らしてしまう。
約一分後、迷惑そうな顔で出てきた彼女のお母さんに迫る。
「彼女の部屋は!――ちゃんの部屋はどこですか!?」
切羽詰まった僕に驚いたのか、おばさんはすぐに教えてくれた。残った片方の靴を脱いで、階段を駆け上がる。おばさんが後ろから付いてくる気配を感じる。
「――――っ!!」
彼女の名前を叫びながら、僕は勢いよく、扉を開けた。
女性の悲鳴が、聞こえた。
そして僕は今、彼女と、彼女のお母さんに、お説教されていた。
僕が扉を開けた時、彼女はパジャマへと着替えている最中だったのだ。
あの時悲鳴を上げたのは、おばさんではなく、彼女だった。そりゃまあ、男に着替えを覗かれればね。うん、分かるよ。
でもさ。僕は彼女のを心配して、やって来たんだよ?だからもうちょっとさ・・・・・・。
「なんで私が自殺するわけ?意味わかんないよ。どの辺を見たら、そんなことを思うわけ?」
だってさ・・・・・・。
「すみませんでした」
言いわけしようとも思ったけど、もっと怒られそうなので、やめた。
・・・・・・そうだ。帰ったらブログを書こう。彼女いわくブログは近況報告らしいから、今日のこれを書けば良いだろう。
説教が終わって、帰り際。彼女の机の上に置いてあるパソコンを見ると、ブログの画面が映っていた。
『今日は早めに眠ろう。バイバイ』
帰り道、落とした靴を拾って、帰宅。
僕はパソコンを開いた。
『近況報告:左の頬に、大きな紅葉マークが付いた。
あっそ、という感想は受け付けない』
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