「古めかしい」
「情に流されすぎ」
という諸評には、
敢然と反論したい。
ウィーンコンツェルトハウス四重奏団によるシューベルト。
弦楽四重奏曲7番・8番。
こんなにシューベルトを感じる演奏はほかにあるだろうか。
第一ヴァイオリン主導で「何が悪い!」
シューベルトは歌の人だ。
メロディを担う第一ヴァイオリンがいかに「歌って」くれるかが、
勝負を分ける。
もちろん、ほかのメンバーもシューベルトを知り尽くしている。
聴いていると、いかにメンバーが意思疎通をはかってきたのか、
鍛錬を重ねてきたのか、がわかる。
ロマンティックでないシューベルトなど、
私は聴きたくない。
いま、こんなにシューベルトを「歌ってくれる」カルテットはないし、
ウィーンコンツェルトハウスSQは、
シューベルトの弦楽四重奏を最も愛した
最初で最後の団体だった。