今回の小旅行は屏東県屏東市。屏東は高雄から台鉄自強号で30分足らずのところに位置する歴史ある街。古くは、平埔族の居住地、阿猴社であった。その後、1600年代後半頃に漢人が入植を開始。1800年代には、外敵からの防御のために城壁が設置された。「屏東市」という名前になったのは、日本統治時代の1933年とのこと。また、戦前には、陸軍の航空基地が置かれていた。

 

 夕方、屏東駅に到着すると、先ずは宿探し。幸いすぐに、駅の近くの鮪魚家族飯店 屏東館(Fish Hotel Pingtung: 屏東市民生路255号)に、部屋を確保することができた。清潔でリーズナブル。屏東で宿泊するならお薦めの宿である。

 

 

台鉄屏東駅。2015年に高架化されたとのことで、近代的な駅となっている。

 

 ホテルに荷物を置くと、すぐに第一目的地、屏東駅前の大和ホテル(大和旅社: 屏東市民族路163号)へ。大和ホテルは、1934年(昭和9年)に建てられ、当時は屏東駅前で、唯一のホテルだったとのこと。1999年に営業を終了してからは、放置されていた時期もあったようだが、2014年より修復が始まり、往時の姿を取り戻しつつある。現在は1階のみコーヒーショップとしてオープンしている。2階と3階はホテルとしての復活を目指しているが、開業にはもう少し時間がかかりそうだ。屏東に来たらぜひ訪れたい昭和初期の老建築物だ。

 

 

 

大和ホテル。現在は、1階のコーヒーショップのみオープン。

 

屏東駅周辺には、老建築物が点在。

 

 大和ホテルでコーヒーと昭和レトロを堪能した後は、第二目的地の屏東夜市へ。屏東駅から徒歩5分程度で、民族路にあることから民族路夜市とも呼ばれる。レトロチックで、とにかく夜市情緒満点の夜市である。老舗感のある食堂や小吃屋台が軒を連ね、店先の料理を見て回るだけでも十分に楽しめる。迷った挙句、「關東煮壽司」と書かれた屋台(第35攤)に入った。関東煮(おでん)と刺身を注文し、コンビニで調達した缶ビールで、自由気ままなほろ酔い晩御飯。。。これぞ、台湾小旅行の醍醐味。台湾で暮らす幸せをかみしめる。。。

 屏東夜市は、屋台式でない店舗を構える店が多く、朝から営業している店もあるので、朝食やランチで訪れるもよし。屏東では外せない観光スポットだ。

 

 

レトロチックで夜市感満載の屏東夜市。

 

 

おひとり様の夕食は関東煮(おでん)の屋台で。

 

 

コンビニで調達したビールと、おでんと刺身で大満足。

 

 夜市での夕食の後は、屏東に住むの同僚と合流し、同僚ご推奨の滷味店、“紅目有滷味茶坊”(屏東市自由路510-1号)へ。滷味(ルーウェイ)とは、台湾小吃(B級グルメ)のひとつだが、いろんな食材を、醤油ベースのスープで煮込んだもの。お店で並んでいる食材から好きなものを選んで注文すると、その場で煮てくれる。ビールとの相性が抜群に良い。このお店では、滷味を皿にきれいに盛り付けてくれ、先ずは目を楽しませてくれる。もちろん味の方もピカイチ。炙ったスルメと合わせると、ジョッキビールがいくらでも進む。同僚と会社の将来について熱く語り合いながら、夜は更けていった。。。

 

同僚ご推奨の滷味店、“紅目有滷味茶坊”

 

美しい盛り付けの滷味(ルーウェイ)。味もピカイチ。

 

炙りたてのスルメと滷味でビールが進む。

 

ここ紅目有滷味茶坊では、サンミゲルの生ビールが楽しめる。

 

 翌朝は、早起きしてジョギングしながら、市内を見て回った。目的地は朝陽門と青島街。

 

 朝陽門は、阿猴を囲んでいた城壁の名残。残念ながら、整備のための工事中なのか、工事用のフェンスに囲まれており、全体像をとらえることはできなかった。フェンスにさえぎられて見えない部分が、フェンス上に描かれた絵でカバーされていたのは、ご愛敬。。。

 

城壁の名残り。朝陽門。残念ながら工事用のフェンスで囲われ、上半分しか見えなかった。フェンス上に書かれた絵のおかげで、角度によっては、全体像がリアルに見える。

 

 青島街エリアには、昭和の香りのする日本家屋が多く残る。日本統治時代に陸軍の官舎として建てられたもので、戦後は国民党が引継ぎ、陸軍の「眷村」(軍人とその家族が住む軍人村)となった。時の流れとともに老朽化が進み、多くが取り壊されたそうだが、その後、屏東の歴史や文化を伝える観光スポットして修復されることになり、2009年に文化文物館としてオープンしたそうだ。レトロでおしゃれな雰囲気を醸し出すエリアとなっている。

 

 

 

青島街エリアに残る日本家屋。軍人の官舎として建てられた。

 

 屏東は、その他、屏東書院や慈鳳宮など、コンパクトな街ながら、見どころも多く、台湾小吃(B級グルメ)も充実しており、ぜひ小旅行で訪れたい街だ。

 

 

屏東書院。

 

慈鳳宮。

 

著者: 大丸子。 男。 2017年3月より高雄駐在。 趣味: ジョギング゙、古鎮・老街めぐり、老房子鑑賞。