今回ご紹介する高雄の昭和レトロは、前鎮区の鎮華街138巷。2025年1月号でご紹介した高雄銀座をネットで調べているときに見つけたもう一つの「銀座」。興味を持ち、さっそく訪れてみた。そこで待っていたのは、「日本時代の昭和」ではなく、昭和30~40年代くらいの戦後の昭和の風景であった。古びたアーケード商店街で、地面に敷き詰められた赤と緑のモザイクタイルは、昭和時代の幼き日に見た風景。

 

かつての「銀座街」、鎮華街138巷

 

 高雄市の電子期刊、「臺灣新聲代 高雄人有話要説 No.09」に掲載されている記事によると、1966年に高雄港の前鎮区に世界初の加工輸出区が設立され、船舶解体業、鉄工所、建材業などの伝統産業と相まって多くの雇用を創出し、農村部から人口が流入。やがてにぎやかなコミュニティが形成され、前鎮夜市や、かつて 地元民に「銀座街」と呼ばれた鎮華街138巷 のような繁華街が出現したとのこと。当時 の「銀座街」は、洋服店、時計店、百貨店、 映画館などが軒をつらね、夕方や休日には 買い物客でごった返し、活気に満ちた場所 だったよう。

 しかし、1980年代後半になると、解体業の 衰退や、加工輸出区の移転により、人口が 次第に減少。「銀座街」と呼ばれた一帯も、 賑わいを失っていったとのこと。

 

どこか郷愁を誘う洋服店、いまだ健在

 

  2000年代以降は、前鎮区の産業の転換が進み、高雄軟体科技園区や大型ショッピングモールができ、街の景観も大きく変わったが、凱旋路を挟んだ南側の一帯には、取り残されたように、かつての面影を残した街並みが残っている。 

 往時に洋服店、化粧品店、百貨店などが並び、大いににぎわった「銀座街」アーケードは、今では精肉店、鮮魚店、野菜・果物屋などが残り、日常生活のにおいのする古びた商店街となったが、しっかりと生き続けている。 

 

 どこか懐かしい雰囲気、戦後の昭和の面影を求めて、ぜひ訪れてみてほしい。