2024年1月25日。

  私は、かかりつけ医Z病院のN医師から健康診断の結果を聞いていた。

「沢藤さん、胃と大腸は問題なかったけれど、食道に異物のようなものが見つかりました」

「まさか、癌ではないでしょうね」

「生検の結果を待たなければ明言できませんが、癌で間違いないと思います」

 私は信じられないと思う同時に、非難めいた口調で言った。

「先生、一昨年胃カメラをやっていますが、問題なかったじゃないですか」

「沢藤さん、早期に見つかってラッキーですよ。確認のため生検に出しますので、一週間後に来てください」

 N医師が、すげなく言った。

 なにがラッキーなもんか、癌になったんだ、憤りから日がたつにつれて、悲劇の人間として、一週間を過ごした。

 そして、予約していた日にN医師に面談した。

「沢藤さん、やはり、食道癌です。紹介状をS大学病院のT先生に書きますので、S大病院に持っていってください。T先生は優秀な先生ですから安心してください」

「入院するようですか」

「はい」

 私は今まで入院したことはなかった。

 ーまさか入院なんて、なんで検査で大腸ポリープのように切除できなかったんだろう。癌は二人に一人かかる病気だと言われているけれど、まさか俺が食道癌になるとは。

 私はなかなか現実を認めることができなかった。