私が、心を取り乱すようになったのは彼是3.4年前だ。当時は学部生だったので家賃2万共同風呂、共同トイレの女子寮という所で生活をしていた。

ある日、一本の電話がなり、出るとそれは母からだった。




あのね、今、うちの家に誰かが話を聞きに来ていてね、誰か分からないの。おかあさんは目が見えなくなっちゃって見えないから運転をやめたんだけど、虫が入ってきてるみたい。

だからタマラが食べられてないかどうか心配で…



衝撃だった、人間50代から何かしら神経症の発作が出るとは言うけれども、ここまで完璧な統合失調症には

お目にかかれないだろう。


警察にも世話になったしね。




私と母はとても奇妙な関係で世間から見たら、私は娘だとは思われないと思う。

とてもエキセントリックな母で、怒ると私をずいぶんひがむ傾向があった。


小さい時から普通の光景がゆがみ始めたのは、家を始めて出た小学校3年の時。

お友達のお泊り会に参加した時だ。




そこからの私は急速な不安感を覚えて、外に飛び出すようになっていった。

私は大人からの、親からの、母、からの愛情が欲しかったのに、私が安心する形では与えてくれなかった

しばらくすると、絶対的な包容力を欲しくなり、先生や友達のお母さんを頼るようになった。認めてほしかったからだ、私を見てほしかった。

しばらくして家を離れ、自分にもがくうちに愛を乞うてしまうのは、彼女がそのどれでもない女だったと知ったのは

精神分析学に出会ってからだった。



お母さんの事、憎いけど嫌いじゃないのよ。








7月7日に診察を受けに病院へ行ったら、大きな吹き抜けのロビーに笹が置いてあり、色とりどりの短冊が連なっていた。



お父さんが娘から離れて私の所へ戻ってきますように。







オレンジの短冊に、まるで幼子が書いたような字面で訴えていた。





わたしを名付けないで

娘という名 妻という名

重々しい母という名でしつらえた座に
坐りきりにさせないでください わたしは風

りんごの木と
泉のありかを知っている風



なんとなく、思い出した。