私は「貴方を否定したくない」と、誰にもその気持ちを打ち明けませんでした。
***
底なしの地獄から、
それを手に入れるために生死を捨ててしまえるような。
それが“悪”でも、構わない。と。
私はこんなに、自分のことしか考えられないような人間だっただろうか。
そうでもある。のです。
それを貴方に、覚えるなんて。
知りたくなった。
そんな私が、そこにいるなんて。
もう少しきれいなままで、愛されたいのです。
貴方を知った素晴らしさと、
己を知った醜さが、
貴方を否定してしまいたくないのです。
こんな気持ちを、
貴方を、
知らなければよかったと、言いたくなるのが辛いのです。
だけど私に、己の底を超えたさらに深い深淵から、こんな気持ちを湧き起こさせるのも貴方なのです。
それは嬉しくもあります。
私が、こんなに、誰かを愛するような気持ちを、抱けるなんて。
誰かにここまで、恋をするなんて。
でも「こうなったのは貴方のせいじゃないのか」と、貴方を責めるような気持ちもありました。
「貴方を否定したくない」と私は、
誰にもその気持ちを打ち明けませんでした。
それが貴方の否定に繋がって、失われてしまったら困ります。
気持ちの浮き沈みの中で、どうしてか、
涙を流している時に、神様が頭を撫でているような気持ちになることがありました。
何かが見えた。とそうではありません。
都合のいい夢のようなイメージです。
幸せな一方でどうして、何かを台無しにするようなことまで考えてしまうのか。
それが悪なら、私は、見捨てられてしまうのではないか。
でも、神様はずっと、私の頭を撫でてくれていました。
何も言いません。
ただ、ずっと。
傍にいるような。
私は、そう、感じていました。
私は先に進んだら、積み上げた己を失うのかと思いました。
それを捨てないといけないのか。と。
でも、どうして教えてくれなかったんだ。と、貴方を責めたくなるような私も、私なのです。
それを捨てることはできません。
それじゃぁ、先に進めないのか。
何か置いていきぼりで、
それが貴方の迷惑になってしまったらと思うと辛いのです。
貴方の足を引っ張りたくはないのです。
ふと、ある日。
「“貴方が好き”とその気持ちには、神様の許可はいらないのだ」
と、思いました。
まぁ、そもそもそれを貴方に伝えてもいません。
連絡も取れないので、伝える方法もありません。
でも、
私が、貴方を好きだ。と。
その気持ちは私の中にあるのです。
私には<貴方>だけ
神様が『違う』と言っても信じない
神様が『違う』と言っても信じない
だからその気持ちを抱いたままでいいのだ。と。
「貴方が好きだ」と、それだけでいいのだ。
「貴方が好きです」
と。