「あぁ…世界が私中心に回ればいいのに。」
 夕空をバックに彼女が言った。
「そんなバカなことを。」
 俺は彼女のいる方―――いや、彼女を見ていた。
「だっていらない人は排除出来るじゃん。」
 そう言いながらも不満を持ってるようには見えず、楽しそうだ。
「大人になれよ。」
 あくまでも冷たく接する。元々明るい方ではないのだが。
「あ、でも高井は生かしてあげる。」
 彼女は悪魔的な笑みを浮かべた。
「…それは光栄なのかな?」
「ねぇ…世界が高井中心だったら…私はそこに存在してる?」
 言葉を無視して彼女は問い掛けて来た。
 さっきまでの楽しそうな雰囲気は微塵も感じられない。まるでさっきまでが嘘のように。
「…。」
 返事に困った。簡単に考えれば存在する。でも彼女の求めている答えはきっと…複雑なのであろう。
 真っ直ぐと見つめる彼女に、俺は…少しして目を逸らした。
 彼女はそれを見て溜息ながら言った。
「やっぱり世界が私中心に回ればいい。」
「…そうかもな。」
 気が付くと…夕闇に全て呑み込まれてしまった。