気付いたら夜。
 気付いたら月光。
「こんばんは。」
 後ろから誰かの声。
 振り返ってみると蝶がひらひら。
「君かい?今僕に話しかけたのは。」
 蝶は無言でひらひら舞うだけ。
「馬鹿だな…蝶が喋るわけないのに…。」
 軽く水を喉に通し目を覚まさせる。
 ここが闇だと気付くまで少し時間がかかった。
 月光だけがこの場で目立つ存在である。
 それにしても目覚めた後ってのはどうにも衰弱した気分になる。
 リハビリが必要だ。
 だから外へ出てみた。
 散歩である。
 そこは人の気配だけがくっきりない。
 そんなことはあたりまえと気にせず公園へと入る。
 ブランコに飛び乗って揺れて揺れて…。
 揺りかごのようので、とても心地が良くて軽く目を瞑る。
 少し経って目を開くとそこには蝶がひらひら。
 さっきのと同じかは分からないが嫌だな…と思った。
 確かに綺麗だけど一人を楽しんでいるのだ。
 邪魔されたくはなかった。
 そっぽを向いて滑り台に向かう。
 階段は危険なので滑る部分から上ろうとした。
 だけど、途中で押し戻される。
 上のほうで蝶がひらひら。
 …馬鹿にしてるのか?
「馬鹿になんかしてないよ。」
「え?」
 声はやはり蝶から聞こえる気がする。
「なんなんだい?誰なんだい?何か用かい?」
「…。」
 蝶はひらひら。
 無視をする。
 溜息を吐いた。
 まあ、夜は長い…。
 これから謎を解き明かすとするかな。
 そして猫は蝶と夜を過ごしました。