・episode-1・ Am10:00


その日、俺はひどく寝起きの悪い朝を迎えた
頭がミシミシ痛む・・・
体中が鉛のように重い・・・
おまけに無性に吐き気を憶えていた・・・

(ったく・・・なんだこれ・・・朝っぱらから・・・)

正直、ベッドから体を起こすことさえ嫌になるほど
ひどい感覚だった・・・


ベッド脇のテーブルへ手を伸ばす
さっきから携帯が振動していた
目が開かない・・・
やっとのことで携帯に触れた


「・・・・誰だ?・・・」

「おぅ、和宏起きたか?」

「ぁん?・・・なんだ、幸雄か・・・」

「なんだ・・・って。まぁいい、お前TVつけてみろ!」

「ぁあ?TV?・・・勘弁しろ、しんどいんだ・・・」

「しんどい??お前呑気な事言ってんじゃねぇよ!!
指名手配かかってっぞ!!」

「あぁ??・・・なんだって???」

「聞こえなかったか?・・・し・め・い・て・は・い・・・だよ
お前、昨日の夜何やったんだよ!?
まぁいい・・・とにかくそこから逃げろ!!マッポが来るぞ!!」


何言ってんだこいつ!?
こっちはそれどころじゃねえんだよ
頭いてぇし・・・体ガタピシきやがるし・・・
ったく・・・なにが指名手配だよ・・・ざけてんじゃねぇ・・・
電源を切り、テーブルへ置こうとしたそのとき
小さくサイレンの音が聞こえた
だんだんと俺の居るアパートへ近づいてくる

(・・・マジかよ・・・)

やがてその音は、俺のアパートの前で止まった

(おいおい・・・嘘だろ??)

階段を上る足音・・・
その音は廊下を走り、俺の部屋の前で止まる

(・・・・・・)

「杉本さん・・・杉本和宏さん
扉開けてください・・・・杉本さん」


俺は、心臓の鼓動が破裂しそうなほど早くなるのを感じていた

(なんだよ、これ・・・・俺・・・なにもしてねぇ・・・・)

怖かった・・・訳がわからずただ俺はおびえた・・・

「杉本!!」

その声と同時に玄関のドアが蹴破られた
ドカドカと部屋に入り込む足音・・・
被っていた布団を剥ぎ取られる

「・・・お前・・・だれだ??」

俺は一瞬自分の耳を疑った

(なに?こいつ今、なんて言った?・・・)

「起きろ!!」

俺の髪の毛を鷲掴みにしてマッポは俺を起き上がらせた

「もう一度聞く。お前はだれだ・・・」

ベッドの正面にある姿見鏡が目に入った
そこに映っていたのは・・・

(・・・だれ・・・だ・・・これ・・・)

その姿はどう見ても俺ではなかった・・・
白く華奢な体に茶髪のロン毛・・・

(・・・俺じゃ・・・・ない・・・)

「お前、杉本はどこへ行った!!
素直に答えろ!!」

イラつく警官の声・・・・

(どうする?・・どうするよ、この状況・・・)

渦巻く頭の中・・・
次の瞬間、俺の口から言葉が出た




「・・・コンビニ・・・さっき、コンビニ行くって・・・」

「コンビニ?・・・コンビニ行くって言ってたのか!?」

「は・・・はい・・・」

「おい!本部に連絡!!増員を頼んで付近一帯しらみつぶしに探せ!!」

部下の警官が部屋を出て行った

「君・・・すまないが警察まで来てもらうよ。事情を聞きたい」

「あ・・・はい・・・」


警察へ向うパトカーの中で、俺は必死に頭の中を動かしていた

(なんなんだこれ・・・俺は・・・どうなった??
なぜ俺の姿は変わった??・・・俺は何をしたんだ・・・)

「おい!なにがおかしい!?」

隣に座ったさっきの刑事がふいに言った

「え“?・・・」

「おまえ、今笑ってたろ・・・なぜだ」

「笑った!?・・・・」

(そんな・・・俺は笑ってなんか居ない・・・
どうしてそんなこと言うんだ・・・)



ほどなく警察へ着いた・・・