Side-13

「斉藤・・・飛びそうな機体はあったか?」

〈まぁ・・・あったといえばあったが・・・〉

「なんだそれ?・・・」

飛行場はもぬけの殻だった・・・滑走路には破壊された航空機の残骸がごろごろ・・・

どう考えても飛行機など残っていそうな気配はなかった

だが、僕たちは先へ進むため手分けして格納庫を探しまくっていた

斉藤が探していた格納庫にそれはあった

〈あったんだが・・・飛べるかな、Mi-24だ・・・〉

Mi-24って・・・ハインド・・か?・・・」

〈あぁ・・・1970年稼動開始のソ連製攻撃用ヘリ・・・〉

「ぃや、それは知ってるけど2015年に使用中止になったんじゃないのか?」

〈あぁ、そうだ。・・・まだ残ってたとはな・・・

後尾ローター付近の改良具合から見ると1995年の24VMだろう・・・

まだ30年そこそこだ。なんとかなるかもしれん〉

「斉藤、お前操縦したことあるか」

〈いや、無いな。実際には・・・〉

「・・・無いって・・・大丈夫か?」

〈まぁ、所詮はヘリコプターだ。基本的な操縦は変わらんさ。

シミュレートでは飛ばしてるしな〉

「そ、そうか・・・まぁ、操縦は任せるよ。

さて、ハインドだと飛行距離は最大1000kmか・・・グローズヌイあたりが

限界か・・・若しくはトビリシあたりか・・・」

「斉藤、整備頼むわ。俺、車回してくる。あと使えそうなバイクがあったから

それも持ってくるよ」

〈あぁ、わかった〉

ふと、対空攻撃が頭をよぎった・・・スティンガーでも発射されたら終わりだ・・・

だが、ここまでの道のりを考えるとそのことは捨てていいのだろう

なにしろボンベイへ上陸してからここまで、誰一人として行き違っていない

それに航空機類の姿も見かけない。砲火の音も聞こえなかった

表面上は、まったくの廃土状態だった・・・

ここまで廃土化することが起こりうるのか疑問な部分もあったのだが・・・



7月8日 PM23:00

僕と斉藤は飛行場を飛び立った

眼下に見る地上は、恐ろしいほどに暗闇の中にあった

月に照らされるカスピ海が異様な輝きを放っていた