Side-6
ドーバーまでの道程には、各国の原潜との遭遇もあった・・・
ただ、どの原潜も僕たちを黙ってやり過ごした
その沈黙に、より深刻な事態であることを認識せずにはいられなかった
ボトムして1ヶ月・・・
その間に、僕たちは情報収集を急いだ
既にヨーロッパ各国との連絡が取れなかった現状・・・
情報収集には時間がかかった
西暦2026年 7月4日
日本から、暗号通信が届いた
ミーティングルームに僕たちと下士官が集められた
『本日、07:00 アメリカはソ連に向け核弾頭ミサイルを発射
07:15 報復措置としてソ連から同じく核弾頭ミサイルの発射
第三次世界大戦の様相を醸し出す状況である
貴艦は、これより独自の判断にて作戦行動すること
我々政府は各国との調整に入る
今後、政府は貴艦に対しいかなる補助も通信も行わない
熟慮されたし 日本国首相 早瀬香織』
艦長は文面を読み終えると静かに息を吐いた
誰一人として言葉を発するものはいない
「諸君・・・それぞれに内に記するものがあると思うが、艦長の責に在るものとして
このような連絡が入った以上、本国は臨戦状態に入ったと考えられる
よって、これより我が艦『飛龍』は当初の作戦を変更し、PLAN-Bへ移る
M・S・Fの諸君には申し訳ないが、諸君にはここで退艦をしてもらう
08:30に浮上 それと同時に退艦開始
他国の原潜にも、これと同様の指示が出されているものと判断し行動は迅速に願う
以上・・・・何か質問は?」
皆、無言のまま席を立ちそれぞれの部署へ向かった
部屋には、艦長の真田1佐と僕たちだけ・・・
「艦長・・・PLAN-Bとは?」
僕たちのチームリーダーの伊達が口を開いた
「・・・すまない。極秘だ」
その一言を残し、席を立つ艦長・・・
08:30 時間通りに浮上・・・僕たちは2隻のボートに分乗し海に出た
08:40 飛龍は海へ沈んだ・・・
あのあと僕たちの中で、その姿を見たものはいない・・・