Side-6

ドーバーまでの道程には、各国の原潜との遭遇もあった・・・

ただ、どの原潜も僕たちを黙ってやり過ごした

その沈黙に、より深刻な事態であることを認識せずにはいられなかった

ボトムして1ヶ月・・・

その間に、僕たちは情報収集を急いだ

既にヨーロッパ各国との連絡が取れなかった現状・・・

情報収集には時間がかかった

西暦2026年 74

日本から、暗号通信が届いた

ミーティングルームに僕たちと下士官が集められた

『本日、0700 アメリカはソ連に向け核弾頭ミサイルを発射

0715 報復措置としてソ連から同じく核弾頭ミサイルの発射

第三次世界大戦の様相を醸し出す状況である

貴艦は、これより独自の判断にて作戦行動すること

我々政府は各国との調整に入る

今後、政府は貴艦に対しいかなる補助も通信も行わない

熟慮されたし   日本国首相 早瀬香織』

艦長は文面を読み終えると静かに息を吐いた

誰一人として言葉を発するものはいない

「諸君・・・それぞれに内に記するものがあると思うが、艦長の責に在るものとして

このような連絡が入った以上、本国は臨戦状態に入ったと考えられる

よって、これより我が艦『飛龍』は当初の作戦を変更し、PLAN-Bへ移る

MSFの諸君には申し訳ないが、諸君にはここで退艦をしてもらう

0830に浮上 それと同時に退艦開始

他国の原潜にも、これと同様の指示が出されているものと判断し行動は迅速に願う

以上・・・・何か質問は?」

皆、無言のまま席を立ちそれぞれの部署へ向かった

部屋には、艦長の真田1佐と僕たちだけ・・・

「艦長・・・PLAN-Bとは?」

僕たちのチームリーダーの伊達が口を開いた

「・・・すまない。極秘だ」

その一言を残し、席を立つ艦長・・・

0830 時間通りに浮上・・・僕たちは2隻のボートに分乗し海に出た

0840 飛龍は海へ沈んだ・・・

あのあと僕たちの中で、その姿を見たものはいない・・・