「時の旅人」


人は皆、生を終え死んでいく


その先になにがあるのか・・・


知る人はいない


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「艦長。まもなくデュボスに到着します」


「・・・そうか。モニターへ」


映し出される巨大な惑星


地球が宇宙への最後の移民を送り出して

1世紀半が過ぎた・・・

あれから地球とは連絡が取れていない・・・


遠くを見る目で艦長はモニターを見つめていた


・・・・・


『惑星デュボス』・・・

人類がやっと見つけた星・・・

ケンタウルス星第17惑星

木星の3倍の質量を誇り

かつ、地表には地球人が必要とする「空気」も存在していた

西暦2250年

人類は、その地へ探査に入る

科学の進歩は目覚しかった・・・

だが、それでも地球との更新に数時間を必要としていた

それほどに、遠い地の果て・・・


・・・・・


西暦2015年

枯渇する化石燃料・・・

代替とする自然エネルギーの実用化は今だ試験段階に過ぎなかった

主要国家においては、表面上争いは起きていなかったが

水面下では自らのエネルギー確保に向け

どす黒い争いが起きていた

・・・・・

西暦2050年

人口増加は極限を向かえ

食料の確保さえ困難な状況に陥っていた

このときになって初めて大国は

事の重大さを認識し宇宙への移民計画を

本格的に試行し始める

2060年・・・地球史上初めての移民船団が宇宙へ飛び立った

時を同じくして、固定周期で飛来する流星群と接触・・・

残骸が地球上に降り注いだ・・・

2075年・・・悲しみから立ち直った人類は2回目の移民を宇宙へ運んだ

木星軌道上で通信が途絶える・・・

1年後地球へ届いた最後の通信からは

助けを求める悲鳴と爆発音が聞こえてきた・・・

・・・・・

人類は宇宙をあきらめる

それと同時に生存権をかけた争いに火がついた

主要大国は軍備の拡大と共に

極秘裏に核兵器の量産に手をつけ始める

国連は名ばかりの組織となり

各国代表は他国の同行を確認するだけの出席となった

世界は平和だった・・・表面上は・・・

・・・・・

西暦2100年

ケープタウンから数機のシャトルが発射された

国連が秘密裏に推し進めていた

人類最後の移民船団だった・・・

それを狙い打つかのように

アジアから核が発射された

報復としてアメリカから発射される核・・・

大気圏外へ脱出できたのは、たった2機のシャトルだけだった・・・


・・・・・


「艦長!・・・これ・・・」

「ん?・・・どうした」

「通信が・・・」

「通信・・・だと?・・・どこからだ!」

「地・・・地球から・・・です」

「地球・・・から・・・モニターへ!!」


ノイズだらけの画面に切り替わった


「・・・艦・・・長・・・この通信・・・が・・・

届くこと・・・を・・・願って・・・いる・・・

すまない・・・・地球は・・・もう・・・終わりだ

・・・君達・・・に・・・未来を・・・託・・・・・・・・す・・・」


ブツリ・・・と通信が途切れる


「艦長・・・」

「おそらく・・・あのときの核が全世界に波及し

全世界的な大戦が勃発したのだろう

それほどまでに、あの時は緊張していたはずだ

・・・我々のいる空域まで100光年以上かかるはずだ

我々が飛び立って数年後に発信されたのだろう・・・」

「じゃぁ・・・地球は・・・」

「あぁ・・・すでに星屑になっているはずだ・・」

「・・・そんな・・・私達は何のために・・・」


オペレーションルームに静寂が走った

モニターに映るのは砂嵐だけ・・・


マザーコンピューターの声が聞こえる

『デュボス大気圏突入まで5分

現在各システム異常なし

姿勢制御開始

繰り返す・・・』


クルーの動きが慌しくなる


(・・・これから俺たちはどうすればいいんだ・・・)

シートに背をもたれ艦長は遠くを見つめた


人類最後の生存者・・・100名


人類の繁栄を願うには、あまりにも少数・・・


・・・・・


シャトルは周回軌道へ突入した・・・・・


・・・・・