『始動』


時はさかのぼる・・・


「村上さん!ちょっと・・・これ・・・」

「ん?なんだ・・・

・・・・なんだ!?この気象は・・・」

・・・・・

防衛庁特殊作戦室のモニターに映し出された映像は

室内にいた全ての者の目を釘付けにした

・・・・・

「早川2尉・・各国情報部に確認!!

続けて内閣官房室に連絡!」

「了解!!」

「村上さん!ペンタゴンより入電!

『至急調査地を組織の上、現地へ向かい

空母ホーネットに合流せよ』・・・とのことです!」

「・・・空母ホーネット・・・だと!?

完成してたのか??・・・

山中君!厚木潜水艦群へ連絡

『はやしお』発艦準備!04:30発艦予定!!」

「了解!」

「村上さん!官房長官とつながりました」

「まわせ!

・・・長官、海自特務課の村上です

情報はお伝えしたとおりです

今、ペンタゴンから出動要請が来ました

これより『はやしお』で向かいます」

「村上君・・・

この現象はなにをあらわすのかね・・・」

「・・・わかりません・・・・

過去に例のない現象です・・・

とにかく向かいます

追って連絡します」

「うむ・・・頼むぞ

報道管制はこちらから既に手を打った」

「ありがとうございます

・・・早川、山中、早瀬・・・出るぞ!

各自第1種戦闘態勢に移行

各国機関との連絡を密に取れ!

下総・佐世保・八戸の対潜哨戒機出動要請!」

・・・・

廊下を足早に歩く4人・・・

用意された車に乗ると一路、海上自衛隊厚木基地へと向かった

時を同じくして

アメリカから環太平洋第7・第6艦隊が出動

ロシアから第3・第4機動艦隊が出動

太平洋各地にボトムしていた各国の原子力潜水艦群へも

それぞれに作戦内容が伝えられた

・・・・

車中無言の4人・・・

それぞれに思いをめぐらせる

・・・・

ほどなく基地へ着く

ドックにはその黒い巨体が発艦準備を整え

村上たちをいまや遅しと待ち構えていた

タラップに立つ一人の男・・・

村上はその顔を見るとにやりと笑った

「艦長の浅宮です・・・」

「海自特務課の村上です

・・・やはり、あなたでしたか・・・」

「ふ・・・やはりとはなんだ・・・

艦内で状況を説明しよう」


タラップを上がり艦内へ消える5人の男

黒い巨体はゆっくりと水しぶきを上げ

海に吸い込まれた


艦内作戦司令室・・・


「村上君・・・

君達が到着する寸前

新たな展開が起こった・・・」

「・・・新たな展開・・・」

「そうだ・・・君は『十戒』という映画を知っているかね」

「・・・はい、モーゼを描いたハリウッド映画ですよね」

「そうだ・・・その中にモーゼの力で海が割れるシーンがあるのだが・・・」

「知ってます。映画の中で最も印象的なシーンです」

「そう・・・それと同じことが起こった・・・」

「え!?・・・まさか・・・」

「つい先ほど、第7艦隊から飛び立ったホークアイが撮影した映像が届いた

・・・まぁ、見たまえ・・・」


合図をすると部屋にあるモニターがその映像を映し出した

「こ・・・これは・・・」

「映画ではない・・・事実だ」

空を黒く染め上げる雲

海に一本の光が走る

海の水が一本の溝の中に落ち始める

やがてその溝は幅を広げ

両側から滝のように海水が流れ落ちる

言葉が出なかった

誰もがその映像に魅入られていた

早川が声を上げた

「あれ・・・あの中央に映っているのは・・・

まさか・・・人・・・ですか??」

「私も始めは信じられなかったよ

・・・だが・・・あれはまぎれもなく人だ・・・」

「・・・そんな・・・」

「私もそう思いたいのだよ・・・

これは映画・・・だとね・・・・・

この映像で各国の態勢は変わった

全ての国が臨戦態勢に入った・・・」

「ですが・・・」

「早川君・・・

普通の人に、あんなことができるかね?

ホーネットとの合流まで、あと3・4時間ある

まずは仮眠を取りたまえ

合流した後はおそらく・・・眠れなくなる

以上!解散!!」

「は!!!」


それぞれが部屋を出

残ったのは、浅宮と村上の二人・・・

「浅宮さん・・・これは・・・」

「そうだ・・・蘇ったのだよ、村上君」

「・・・まさか・・・なぜ??」

「わからん・・・だが、あいつ一人では

こんなことは出来ん・・・

きっと、手を貸したものがいる・・・」

「手を貸した・・・・あ”!!」

「・・・おそらく・・・な・・・」

「ですが・・・ご子息の封印は・・・」

「もうまもなく解けるはず・・・

始まるぞ、村上君・・・・

いや・・・ヤマトタケル」

「なぜ・・・ウミサチヒコが・・・」


洋上の嵐とはまたく無縁な深海を

最大船速で進む『はやしお』


光と闇の戦いが始まる・・・