『祠』


僕と隆弘はその視線から目を離すことが出来なかった

僕たちを見ていたおっちゃんはくるりと背を向け

遠ざかった

僕の心の中がざわめいた

なんともいえない妙な感覚だった

僕の足はチャリのペダルを踏んでいた

「・・あ・・おい!裕之!どこいくんだよ!!」

背中で聞こえる隆弘の声が遠ざかる

(行かなくちゃ!!)

なぜかそう感じた・・・

僕自身わからなかった・・・

ただ、無性におっちゃんのところへ行かなくちゃ・・・

そう感じた

街を見下ろす小高い丘の上

そこにある公園

公園を囲うように繁る木々

チャリを留め、僕は走り出した

ある一点を目指して・・・

公園の端におっちゃんはいた

例の箱を見ていた

その背中に異様な緊張が走っているのが

遠目からでも感じ取れた

「・・・おっちゃん!!」

息を切らしながらおっちゃんに近づいた

「・・・来たか・・・」

ぼそっとおっちゃんの声

「浅宮・・・開くぞ・・・」

「はぁはぁ・・・え“??・・開く・・

って、なにが??」

僕がそう言ったとき

空は一転黒雲で覆われ

遠くから雷鳴が轟いてきた

「なに?・・・なんだこれ?・・・」

空を見上げ僕は言った

「おっちゃん!だいたいなんで

俺の苗字が浅宮って・・・」

「伏せろ!!!」

おっちゃんは僕の体を地面にたたき伏せた

その瞬間

・・・・

箱は開いた

赤い塊が飛び出してきたかと思うと

空中へ舞い上がった

黒雲は渦巻き

その中に雷光が走る

凄まじい風に僕は思わず目を瞑った

「浅宮・・・

これからがお前の仕事だ・・・

いいか・・・言葉に惑わされるな

奴の言葉を真に受けてはならん!

浅宮・・・忘れるな

お前のほかに仲間が4人居る

それぞれに役割を持っている

おれは・・・見守る役目・・・

お前たちが封印するのだ

目覚めよ・・・浅宮

呪われし運命を受け入れよ

そして、忌まわしき血を鎮めよ

祠は開いた

・・・目覚めるのだ、浅宮

・・・・・頼む・・・ぞ・・・」

耳元でおっちゃんの声が聞こえた

僕は・・・気を失った・・・

どれくらいたったのだろうか

僕を揺り起こす隆弘の声で

目覚めた

顔を上げ周りを見渡した

いつもの風景がそこにあった・・・

「裕之!!大丈夫か??」

「・・・ぁ・・あぁ・・・」

訳がわからないまま起き上がった

頭の中が渦巻いていた

「・・・隆弘・・・

今、なにがあったんだ??」

「なにがって・・・お前の後

追いかけてきたら、お前がここに倒れてた・・・」

「ちがう!!

あの祠から飛び出たのはなんなんだ!!」

「祠??・・・飛び出た??・・・

って・・・お前、何言ってんだよ!?」

「だって・・・空が急に黒い雲で覆われて・・・」

「黒い雲??なんだそれ??

そんなんでてねぇぞ!?」

「え“!!??・・・」

僕の目に、あの祠が映った

赤く染まった祠・・・

(こんな色してたっけ??・・・)

「・・・隆弘・・・おっちゃんは??」

「おっちゃん??・・・だれだ?それ??」

その言葉に僕は思わず隆弘の顔を見た

不思議そうに僕の顔を見つめる隆弘

(なんだ・・・どうなってんだよ・・・これ・・・)

数日後

世界各国で天変地異が起こり始めた

・・・・・

闇は動き始めた・・・