【夜歩く】


あなたは仕事の帰り

いつもの道を、いつものように歩く

家に向かって・・・


ふと思ったことはありませんか?

「誰かが後ろをついてくる・・・」


と・・・・・


゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆


連日の残業で

僕は疲れ果てていた

いつものように駅を降りる

いつものようにコンビニで夜食を買い

アパートまでの道を歩く

部屋には誰も待つ人は居ない

わかっている・・・

ひんやりとした部屋・・・

・・・・・

(彼女欲しいなぁ・・・)

・・・・・

(え”!?・・・)

ふと背後に人の気配を感じた

振り返り後ろを見る

月明かりに照らされた道には

誰もいなかった

・・・・・

気のせいか・・・

(まったく・・・)

・・・・・

夜遅く帰る道には

他に人は歩いていない

まるで僕だけの占有道路みたいに感じる

傍らにある高層アパートの窓には

灯りが灯っている

きっと家族の団欒があるのあろう・・・

ふと空しさを感じる

・・・・・

アパートまでもう少し

(そういえば

レンタルDVDの続き見なきゃ・・・)

つい最近レンタルされた新作

監督やスタッフの名前は記載されていない

題名は・・・『夜歩く』・・・

どうせゾンビ物だろう

そう思ったが、なんとなく惹かれた・・・

・・・・・

歩きながら思い出していた・・・

(こんな出だし・・・だよな・・・)


『ある男が夜道を歩く

暗く静かな道

靴音だけが妙に響く

家までもうすぐのとき

女が声をかける

振り向く男

そこにいたのは・・・』


(ふふ・・・今と同じだな・・・)


『ねぇ・・・』


突然の声に

僕の身体は硬直した

確かに聞こえた・・・

それも、僕のすぐ後ろで・・・

(・・・空耳・・・だよな・・・)


『ねぇ・・・』


待てよ・・・なんだよ・・・これ・・・

誰かいる・・・

冷や汗が流れ出るのを感じた

身体が怖くて動かない

誰かが僕のすぐ後ろにいる・・・

気のせいだ・・・誰もいない・・・

あんなDVDを見たから、びびってるだけだ・・・


首筋に息遣いを感じた

だめだ・・・確かにいる・・・

だれ??・・・だれなんだよ・・・・

怖いよ・・・

僕は怖さに震えながら

ゆっくりと振り向いた・・・

・・・・・

・・・・・

・・・・・

・・・・・

誰もいない部屋の中

砂嵐状態のTV・・・

ガチャリ・・・

DVDプレーヤーから排出されるディスク

・・・・・

道端に

無造作に散らばる

コンビニの袋・・・

・・・・・

・・・・・

月だけがそれを見ていた