【足りないフォーク】
みなさんが食事に出かけるとき
お店のテーブルには
椅子の数と同じ、フォークやスプーンが
ありますよね
え?無かったときがある?
ほんとですか??
あなた・・・ひょっとして・・・
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
今日は、彼女と待ち合わせの日
ちょっと遅刻かな・・・
寝坊しちゃった
息を切らし店に入った
奥の窓際の席
僕たちのいつもの場所
彼女は・・・思い悩むように
テーブルを見つめ座っていた
(まずいな・・・怒ってるのかな??)
ゆっくりとテーブルに近づき
椅子を引き座る・・・
彼女はテーブルの一点を見つめたままだ
「ごめん・・・遅れちゃった・・・」
ふとテーブルを見ると
僕の分のフォークとナイフが置かれていない
(なんだよ・・・)
「ウエイター!!」
手を上げ振り向いて呼ぶが
彼は知らん振り・・・
(このやろ!・・・)
それよりも彼女に機嫌を直してもらうほうが先・・・
「ごめんね・・・ちょ・・・」
言いかけたとき
ウエイターが来た
「あのさ、僕の分のフォークとナイフをくれないか」
・・・・
「お客様、お料理は・・・」
そうウエイターが言うと
「いえ・・いいわ。帰るから」
と彼女。
「ちょっと待って!そんな怒らなくたって・・・」
僕の言葉が聞こえないのか
彼女は椅子を立ち上がり入り口へ向かった
ちょうどそのとき
外を走る救急車のサイレンが聞こえた
その音にギクリと反応する彼女・・・
「ねぇ・・・ちょっと・・・」
僕の言葉が終わらぬうちに
彼女は店を飛び出していた
彼女の後を追う僕・・・
「なぁ、そんなに怒るなって・・・
ごめんって言ってるじゃないか」
走りながら彼女の背中に向けて僕は叫ぶ
交差点までくると人だかりがあり
傍には救急車とパトカーが止まっていた
彼女は人を掻き分けその輪の中に入っていく
後から続く僕・・・
(なんだよ・・・)
交差点の中央に横たわる人
花束は無残に散り
まるで花畑の中に横たわっているように見えた
座り込む彼女
彼女の背中越しに覗き込む僕
僕は息を呑んだ・・・
(なんだこれ・・・)
そこには、僕が横たわっていた・・・
頭の中が混乱する
なんだよこれ・・・なんで・・・俺がここに倒れてるんだ
・・・・なんで・・・・
フラッシュバックが起こった
寝坊した僕は
待ち合わせ時間に遅れそうだった
今日は彼女にプロポーズしようと
決めていた
花束を買って店を出て
信号が点滅しているのに気づかず
僕は横断歩道を渡った・・・
甲高い音が聞こえた・・・
僕は・・・・・
キラリと光るものがあった
彼女は僕の握られた指を開いた
そこには
彼女の為に買った婚約指輪・・・
泣き崩れる彼女
その背中を見ながら
僕の意識は消えていった・・・・・
ごめんね・・・・・