【雨】


「また雨かよ・・・」

空を見上げ、僕はつぶやいた

世間一般に「雨男」「雨女」などと言われる

僕は、それで言う「雨男」になるらしい

僕の記憶の中では、なにかイベント事があると

必ず雨になる

悪友たちには

「お前が来ると雨になるからさそわねぇ」

などと言われる始末・・・

自分でも正直嫌になるほどだ


東京で就職していたけど

人間関係が折り合わなくて、故郷に戻った

今日は、その引越し

といっても、独身の僕には

大した荷物はない

一からやり直そうと

家電などは、みんな友人たちにくれてやった


山間の一角にあるこの村

何年ぶりになるだろうか


ゴゴゴゴゴゴ・・・・


突如響き渡る地響き


・・・・・・・


しばらくして、僕は眼を開けた

青い空が見える

身体を動かそうとしたけど全く動かない

(なんだ?どうしたんだ??)

山の中腹にある道路に佇む人が見えた

(あいつ・・・中山じゃねぇか・・・)

僕はありったけの声を出した

(お~い!中山~。ちょっと助けてくれよ~!!!)


・・・・・・・


「ねぇ、中山君。ここなの?」

「あぁ・・・もう、10年になるだろうか

佐々木がここへ越してすぐ、局地的な大雨があってね

村全体が土砂崩れで埋まったんだ・・・」

「佐々木君もその中に・・・」

「あぁ・・・多分ね。

あいつの遺体だけが見つからなかったんだ。

その後、ここはダムになった。

今日は、あいつの月命日なんだ・・・」

「そう・・・」

二人の目線の先には

煌々と水をたたえるダムの水面があった


・・・・・・・


(中山~!!ここだよ、ここ!!

助けてくれよ~!!!)


・・・・・・・