【人形】
「なぁ、この人形結構古いよね」
「そうねぇ・・・お前が生まれた頃に買ったからね」
「まじかよ!そんな古いの!?」
奥まった和室の箪笥の上に置かれている人形・・・
俺が物心付いた頃にはすでに遊び道具になっていた
よく話しかけていたっけ・・・
あれから20数年が経ち、俺の家は改築することになった
今はほとんど使われていない和室
俺の書斎にするつもりの部屋
手を伸ばし、その人形を降ろす
その瞳を見つめていると、ふと懐かしい記憶が甦る
(・・・どうしよう・・・捨てようか・・・)
その夜、俺は目覚めた
無意識に時計を見る・・・・・午前3時・・・
(なんだよ、まだ夜中じゃねぇか・・・)
カタリ・・・俺の足元で音が聞こえた
眠い眼をこすりながら、その音がするほうを見た
・・・・・
じっと俺を見つめる瞳に月の明かりが反射する
(え”!!!)
それは俺の目を見据えじっと起っていた
その瞳の輝きに
俺は身動きが出来なかった
・・・・・
その瞳から涙がこぼれた・・・
いや、こぼれたように見えた・・・
俺の意識は飛んだ・・・
「パパ!外で遊ぼ!!」
今年5歳になる長男が擦り寄ってくる
「おぉ~そうだね。遊ぼうか」
息子の頭に手をやり椅子から立ち上がる
「外で待ってる!!」
言うや否や息子は駆け出していた
その後姿を見ながら
俺は棚の上を見た
「なぁ・・・俺たちを守ってくれよ」
部屋を出た
(わかってるさ)
人形の口元が緩んだ・・・・・