『こちら、S3哨戒。現在太平洋上空、エリアM2にて海底隆起発見

詳細を調査する』

『こちら、ベース厚木。了解した。尚、現在各所からの海底火山等の動きの報告なし

留意されたし』

S3了解。』

「早瀬2尉。先ほどの隆起確認位置へ戻る。旋回」

「確認。隆起位置へ戻る。旋回。各員ポイント到着しだいソノブイ投下。調査開始」

・・・

海上自衛隊厚木基地から飛び立った対潜哨戒機S3

まだ、P3Cが投入される前のこと・・・当時としては新鋭機のP2J

哨戒機としては先任のP2Vより航続距離が長く探査能力にも優れていた

機長は村上1尉。後にこの物語に大きく関与することになる

・・・

「村上さん、なんでしょうね。あの隆起・・・」

「さあな、俺にも良くわからん。少なくとも今の時点ではどこからの情報もない

単なる地殻変動なのか、それとも他の理由があるのか・・・

まずは、調査することだ。それと早瀬、館山の第一術科の浅宮2佐へ連絡を頼む」

「…浅宮さんへですか…」

「あぁ…」

「…何故でしょうか、そこまでの事例とは思えないのですが…」

「すまん、俺の勘がそう言っている…何事も無いとは思うのだが…」

・・・

第一術科とは、自衛隊における数々の戦略をシミュレートし、それを数々の訓練に反映する部署

浅宮はそこの実質のトップだった

2佐とは、戦争中で言う中佐になる 

実戦部隊の実質上のトップの人間の立場にある

アメリカとの合同軍事演習においても、浅宮の常識を覆す戦略は数々の成果を挙げ

アメリカ内でも一目おかれている存在だった

村上は、その浅宮の教え子

対潜のスペシャリストと呼ばれていた

この村上の勘は、後に見事に当たる・・・

本来は外れて欲しかったところなのだが・・・

・・・

村上が、隆起を発見した同時刻、気象にも変化が現れていた