まだ、ITという言葉が生まれていないこの年
PCを扱うSE(システムエンジニア)の間でささやかれる言葉があった
後に語られる「2000年問題」この年にはまだマスコミも騒いでいなかった
DOS-Vが主力だったPCのシステム・・・
隆弘もこの問題には気づいていた…まだ高校生だったが・・・
この年徐々に世間を騒がせ始めたこと
「ノストラダムスの大予言」みなさんもこれは耳にしたことがあるだろう
『1999年の7の月、アンゴルモアの大王が降り注ぐ』
このことに関しての諸説が語られ始めていた
実際に大々的に騒がれたのは、この年から10年後の1990年になってからだが…
それともう一つ
大気オゾン層の破壊…この年から専門家の間で本格的なシミュレーションが始まった
当時、誰も気づかなかった
この3つの事柄が後に重要な相関関係を持つとは・・・
世界はまだ冷戦が続いていた
互いにしのぎを削って軍事力を整備し世界を牛耳ろうと目論んでいた二大国
大気汚染などどこ吹く風で生産重視の国策を司っていた世界諸国
一部の専門家たちの間だけで独自に語られていた3つの事柄・・・
その専門家たちの中にもそれらを結び付けて考えようとするものはいなかった
あまりにも無謀な考え・・・
だが、それを考えていた人間がたった一人だけいた・・・
おっちゃん・・・だった
近所で評判の変わり者のおっちゃん・・・
いつ越してきたのか誰も知らなかった・・・もちろん僕も・・・
いつの間にか、おっちゃんはいた
おっちゃんは、僕の町の中に在る小高い丘の上に居を構えていた
といっても、ちゃんとした家ではない
どこから集めてきたのか判らない木切れを使って林の中に作られていた
夕暮れになるとおっちゃんは丘の上に立ち、町を見下ろしていた
僕が、その姿に気づいたのは、ある夏の日の夕暮れ
ゲーセンからの帰りだった
あまりにも綺麗な夕焼けを見ていて、ふと目線の端にその姿を見つけた
なにか不思議なものを見たような感じだった
「なぁ、隆弘。あれ誰?」と隣にいた隆弘に僕は声をかけた
今思うと、これがこの物語の発端だった・・・