「・・・今日も、赤い月・・・か」

夜空を見上げ、僕はつぶやいた

ここ数日「赤い月」ばかり・・・

ニュースでもこの話題が取り上げられている

異常気象なのか・・・はたまた天変地異の前触れなのか

気象士を含め、さまざまな観点からこの現象が取り上げられ

そして、ついには「神の命じた災い」と、叫ぶ新興宗教・・・

僕は、それらの報道に辟易していた

僕のみに降りかかるまでは・・・・・


その日、僕は補習が遅れてほぼ終電に近い電車に乗った

電車の中は酔いつぶれたサラリーマンやエッチ帰りのアベックなどなど

そんな中ヘッドホンをした僕は音楽を聴いていた

「・・・聴こえるか・・・」

・・・ん?

ふと、周りを見渡す・・・

気のせいか・・・目を瞑る

「お前だよ・・」

なんだ!この声・・・

何か知らないが、戦慄が走った・・・

立ち上がりさらに周囲を見渡す・・・・・あいつか??

その男(?)は車両の連結部にいた

赤い髪・・・黒のトレンチコート・・・

僕の目は、そいつから離れようとはしなかった

・・・妙な冷や汗が流れる

俯いていたそいつは、ゆっくりと顔を上げ・・・

そして、僕を見た・・・

にやりと笑う口元から覗く、2本の牙・・・

その牙から流れ落ちる・・・血・・・

その瞬間、僕の意識は跳んだ

・・・・・

冷たい風が頬をよぎる

《・・・なに?・・・》

暗闇の中、僕は思った

《なにがあった・・・??》

耳元で、グチャグチャと何かを食べる音が聞こえる・・・

身体を動かそうとした・・・痛い!!

僕の身体全体の骨が折れたような痛み・・・

激痛が走る

目を開けようとした・・・だが

身体が拒絶した・・・開けたら殺される・・・そう感じた

身体を包む悪寒

動きたくても動けない恐怖・・・

《・・・助けて・・・》

心の中で大声で叫んだ

・・・その時、声が聞こえた

「・・・ふ、起きたか・・・」

《・・僕に言ってるのか・・》

「そうだよ・・・お前に言ってるんだ」

《・・・な・・なんなんだ!お前!!》

「なんなんだっていうこたぁないだろ・・(笑)」

「せっかく、お前を目覚めさせてやったのによ・・」

《目覚めさせたって・・・お前、なに言ってんだ??》

「ふぅ~、まったくしょうがねえなぁ・・・だからおりゃあ嫌だって言ったんだよ」

「よぉ、お前・・いい加減にしろや!」

「この匂い、覚えてねぇのかよ!」

《・・・匂い??・・・・・あ”・・》

そう思った瞬間、僕の身体の血が動き始めた

心臓の鼓動が全身を走る

体中から湧き上がる力

全身の隅々までの感覚が蘇る

思い出した・・・

・・・・・

ふぅ~、やっときたか

「よぉ、アヌビス・・・久しぶりだな」

「・・・まったく、やっとお目覚めかよ・・しばらくだな、デビル

・・いや、ジーザスと言った方が良いのか?・・・あん?」

「おいおい、やっと目覚めたのに、そんな言い方ねぇだろ

悪かったな・・・てめぇにゃ借りっぱなしだな・・・」

「まぁな、しょうがねえさ。おりゃぁ、てめぇの番犬だからよ」

「まぁ、そう言うな(笑)・・・ところで、腹へったな・・

なんか、食い物ねぇのか?」

「ほら・・・そこの肉食えや・・」

「ん?・・肉?・・・・・おぉ~こいつか・・・

ほぉ~、アヌビスてめぇなかなかいい女見つけたな・・・」

「・・・ったくよ、おめぇ女の肉しか食わねえからよ・・・

その女、いい女だろ?・・・結構苦労したんだぜ、見つけるの」

「・・は・・すまねえな・・・・では・・っと

目覚めの一発嵌めさせてもらうか・・・」

・・・・・

ジーザスは、傍らに横たわる全裸の女の死体の股間に

自らの猛り狂うものを突き立てた

狼の遠吠えにも似た雄叫びを上げ、その死体に自らのものをぶちまけた

「・・かぁ~、やっぱ死姦は最高だなぁ~・・・え~アヌビスよ」

「うるせぇ、おれにゃぁそんな趣味はねぇよ・・・け!」


その後、ジーザスはその女の死体を食らった

全ての肉を食らい、骨をしゃぶり、さらにはその骨さえも食らった・・・

ジーザスは蘇った

過去、幾度も蘇り、その度に災いをもたらしてきたジーザス

血の輪廻は繰り返された・・・


赤い月・・・それは、ジーザスの復活の前兆だった・・・

夜空に不気味に光る「赤い月」・・・

その中に、まるで血管のように浮き出る筋・・・

・・・・・

「・・・とうとう蘇ったか・・・」

「兄貴・・・」

「あぁ・・・行くしかねぇな」

バイクにまたがる二人、エンジンをかけるとどこともなく走り去った

ジョン・ヘルシングとミハエル・ヘルシング・・・

かつて、ジーザスを倒す寸前まで追い詰めたヘルシングの子孫・・・

二人の行く末に何が待つのか・・・

そして、蘇ったジーザスは何をしようというのか・・・


「赤い月」は、ただ黙って見つめていた・・・