「ヘルシング、行くぞ!やつらだ」

俺の虚ろな頭の中に男の声が聞こえた

「・・ん?・・あぁ」

近づく車の音

「だれだ??・・・」

「ジーザスの仲間だ!お前を殺りにきた・・」

「俺を?・・・なぜ??」

「お前が直系の子孫だからだ・・俺たちにも血は流れている・・だが

お前とは違う俗に言う分家の血だ・・・だから薄い

やつらが狙うのは直系の正当な子孫であるお前なんだ・・・

分家の血はいずれ途絶える

だが、お前の血は永遠に受け継がれる

やつらにとって本当に恐いのは直系の血だけなんだ」

「俺が・・・直系の子孫・・・だと??」

「ぐずぐずするな!近いぞ!とりあえず今は逃げる・・急げ!!」


そのとき俺の中で何かが動いた・・・

体中に血が流れるのを感じる

鼓動が早まる

身体全体に力が漲る


「・・・お前たち・・先に行け・・」

「・・な、なんだと!ヘルシング・・・お前・・・」

「あぁ、多分な・・・これが俺の血・・・なのか・・・」


血管が膨れ上がる・・それと共に漲る力・・・

皮膚がめくれ新たな細胞が顔を出す

爪が伸び先端は錐のごとく鋭くなる

変態する自分を感じる

やつらの匂い・・・

思わず舌なめずりをする俺がいる


「行け!!」

俺はその言葉と同時に翼を広げた

「・・・ヘルシング・・・」部屋を出る男


階段を下りる靴音

俺の息が荒くなる・・・もうすぐだ・・

もうすぐやつらの血を吸える・・・

耳元まで裂けた俺の唇が異様に歪む

鋭く伸びた牙から垂れる唾液・・・

俺は興奮していた

やつらの血の味を思い出した


扉が開いた


それと同時にやつらに襲い掛かる俺・・・

部屋に断末魔の叫びが響いた・・・


・・・・・・


階段を一歩一歩踏みしめ地上へ出る

礼拝堂を抜ける

振り向くと十字架に磔になったキリストがいた

「・・・ふっ・・・ジーザス、お前の本性はどっちなんだ?・・・」


扉を開け外に出る

それを見上げる・・・赤い月があった

「・・・まるで血の色だな・・・」

俺は指先についた血を一舐めすると歩き出した


いつのまにかあの男たちがいた

「・・ヘルシング・・・お前・・・」

「終わったさ・・・」

「どうした?俺の顔に何かついてるのか?・・・」

「・・・い、いや・・・」

「・・・そうか・・・やつはどこにいる?」

「やつって?」

「・・ジーザスだよ・・・」

「あ、ぁあ・・・やつならここから二つ目の街にいるはずだ・・・」

「そうか・・なぁ、なぜ月が赤いんだ?」

「・・・伝説だが・・初代のヘルシングが初めてヴァンパイアの生き血を食らったとき

自分の血の宿命を嘆き悲しんだそうだ

そしてその運命を月に向かって呪ったそうだ

そのときからヴァンパイアハンターが蘇るとき月は赤く染まるようになった・・・

そう俺たちは伝え聞いてる・・・」


・・・・・


「そうか・・・・・じゃ、行くか・・」

「・・行くって?・・どこへ?」

「ふ・・・・ジーザスのところだよ」

「ジーザス!?・・・無茶だ!やつの力はいまや強大に成っているんだ!

いくらお前が覚醒したって、やつに立ち向かうにはまだひ弱過ぎる!」

「・・・やつはどうやって強大な力をつけたんだ?」

「どうやってって・・・仲間を・・・ヴァンパイアを食らったんだ・・仲間たちを・・・」

「・・・そうか・・・仲間を食らって力をつけたのか・・・

俺もそうすれば力がつくのか?」

「あぁ、同種族の血は遺伝子を汚すが、それに伴って力を得る・・・

って・・・おい?お前・・・まさか??」

「わりぃな!!」


・・・・・


ふつふつと湧き上がる力を俺は感じていた

これだ!この力だ!

俺の身体は喜びに打ち震えていた

この血の輪廻は俺が終わらせてやる


「ジーザス!今行くぞ!」


翼を広げ俺は飛び立った・・・