ヨーロッパ諸国で「魔女狩り」なるものが横行するはるか昔

現在のトランシルヴァニア地方で、それは産まれた

一人の農家の娘が子を宿した

相手を問い詰めてもその娘は語らなかった・・・

周囲の人々は年端も行かぬ娘に子を産むことはムリ・・・と

堕胎を促した

だが・・・娘の決意は固く、ある日家を出た


娘は山中に入り一人で子を産んだ

それから10年、二人の姿を見たものはいなかった・・・


その街で家畜が襲われる被害が起きた

襲われた家畜には・・・血がなかった

やがてその被害は頻繁に起こるようになり人々は見回りを始める

だが今度は・・・その人々が襲われた

家畜と同じく血がなかった・・・

人々は恐怖に駆られた

夜になると固く戸を閉ざしで歩くことを控えた

静まり返る街

誰もいない通りを歩く二人の人影

その足音に人々は恐怖しそして祈った・・・

だれに?・・・神である「イエス・キリスト」に・・・


だが、彼らは知らない

その昔、農家の娘が子を宿した

この父親は・・・


「イエス・キリスト」・・・こう呼ばれる男

本名は「ヴァンピエスト・ジーザス」

その名は永遠と受け継がれていた

人類史が始まるとき彼は産まれた

『マリアの処女受胎』そう呼ばれている・・・

だが、実際は違った

精神を患っていた女が妊娠をした

下僕に犯され・・・

その恐怖をぬぐう為に女は自らの中にもう一人の自分を作り出した

・・・ヴァンピエスト・マリア

犯された挙句子を宿した女はその子を神の化身と信じ、産んだ

子の名は、ジーザス

満足に食べ物を与えられない女は、家畜の生き血を与えた

そして、彼に「あなたは神の化身なのよ・・・」と・・・

さらに女は「人を愛する」ということを教えた

マリアとして・・・

大人になったジーザスは人々に愛を説いた

その教えはまたたくまに世界中へ広がった

だが・・・ジーザスには抑えきれない欲望があった

生き血を食らうこと・・・

人目を避け夜になると街へ出て女を抱くジーザス

母親であるマリアに近親相姦的な思いを寄せるジーザス

その叶えられぬ想いを夜毎女たちを抱くことで解消していた

絶頂の瞬間女の首筋に歯を立て咬む

薄っすらとにじむ血・・・

その血をジーザスは吸った


ジーザスの子から孫へ、孫から曾孫へ

その性癖は人目を避け受け継がれた

やがて、「ヴァンパイア(吸血鬼)伝説」が生まれる

二つの顔を持つジーザス

「イエス・キリスト」と「ヴァンパイア」・・・

たった一人の男から生れ落ちた伝説


キリストは死んだ・・・だが、ヴァンパイアは生き残った

人々に永遠なる恐怖を植え付けたまま・・・


ヴァンパイアには女もいた

やがてその女たちは中世において「魔女」と呼ばれることになる

別名:サキュバス(色情魔)・・・

その頃、ヴァンパイアたちに分裂が始まる

ヴァンパイアとして生きる道を選ぶ者たち

そして、その血を忌み嫌い普通の人間として生きようとする者たち

だが、忌み嫌うものたちにも血は必要だった

やむを得ず仲間内で血のやり取りをする

その遺伝子は近親相姦により汚れていった・・・

中世後半、その汚れをただそうとヴァンパイアそのものを狙い始めた

「ヴァン・ヘルシング」・・・その名はヴァンパイアにとって恐怖となった


・・・・・・・・・


俺はその子孫にあたるらしい

小さな頃記憶に残っているテーブルに横たわった女・・・サキュバスの末裔

その血を俺は身体に入れた・・・


静まり返る部屋に男の声が響く

俺には言葉がなかった

・・・・・

遠くから聞こえてくる車の音

その音が俺の中にむなしく木霊していた・・・