俺はどれくらい寝ていたのだろう
車の止まる気配で目を覚ました
「着いたわ」女が言った
身を起こし、ドアに手をかける
ひんやりした空気が肌を刺す・・・どこだ?
月明かりに浮かび上がったそれは古い教会だった
「こっちよ」女が先を歩く
俺は無言でその後に続いた
扉を開け中に入る
燭台に灯された明かりしかない部屋
動くたびに光が揺れる
礼拝堂らしきガランとした空間が目の前にあった
奥へ進む俺と女
奥まった隅にある扉を開けると地下へ降りる階段・・・
一歩一歩確かめるように階段を下りる
冷えた空気だが、どこかジメジメした湿気を感じる
身体に薄っすらと汗をかいている俺がいた
無言で俺の前を歩く女
・・・こいつはだれだ?・・・なぜ俺はこいつの後に続いている?
・・・俺は誰だ?
階段を下りると薄暗い通路が控えていた
・・・さっきから嫌な悪寒を感じる・・・この先に何があるんだ?
そう思いながらも俺の脚は女の後を追っている
女が立ち止まった
扉を開け俺のほうを向く・・・「入って」
俺は躊躇した
何かいる・・・俺の感が言った
女は黙って俺を見つめている・・・扉を開けたまま・・
冷や汗が流れ出るのを俺は止めることが出来なかった
・・・「どうしたの?入って」女が俺を促す
俺は覚悟を決め扉の中に入った
後ろで扉が閉まる音が聞こえた・・・
暗闇の中、俺は全身の神経を昂ぶらせ身構えた
・・・「待っていたよ」・・・突如聞こえる声
俺はその声に聞き覚えがあった・・・あの男だ!!
・・・どこだ!・・・どこにいる!
俺はこぶしを握り締め臨戦態勢に入った
目の前に灯りが灯った
俺は飛び掛った!・・・いや飛びかかろうとした・・・
だが、俺の両腕と両足は何者かにガッチリと捕まれ身動きが取れなかった・・・
あの男がいた・・・
「てめぇ!!」
「・・・まぁ、そう興奮するな」
その声に反応するかのように次々と灯りが灯る
男を含め10人ほどの赤装束が立っていた
目の前には・・・あのテーブル・・・そして祭壇・・・
俺の頭の中は目まぐるしく動いていた
殺されるのか?・・・いや逃げ出すチャンスは必ずある・・・落ち着け
落ち着くんだ・・・
「どうやって逃げるか考えているのかね?」男が口火を切る
「ああ、そうだ・・・」俺は勤めて冷静に言った
「そうか・・・まぁ、それはいいとしてまずは話を聞いてくれたまえ」
男は俺に背を向け祭壇に手を置いた
「君は覚えているかね、あの時を・・・」
「ああ、憶えてるさ!」
「どこまで?」
「・・・なに?・・・どこまで・・・って?」
何だ、こいつ・・・何を言ってる
「どこまで憶えているのか・・・と聞いているんだよ・・」
男の口から語られた言葉は俺を驚愕の渦に引きずり込んだ・・・
教会の上に輝く赤い月・・・
俺は、本当の俺を知ることになる・・・
俺と赤い月の関係を・・・