当時の記憶が俺の中に蘇る
祭壇の前にあるテーブル
底に横たわる女・・・一子纏わぬ姿だった
眠っているのか、はたまた死んでいるのか・・・
その女は目を閉じ身じろぎもせず横たわったままだった
大の字に横たわり手首・足首をロープで縛られている
赤く染まったテーブル・・・
俺はふと顔を上げ周りを見回した
全ての壁が赤く染められている・・・
テーブルの周りに立つ赤いマントを纏った人々
俺はその中の一人に手をとられ連れて来られていた
祭壇に置かれた牛の頭・・・
滴り落ちる血・・・
俺はそれを見ても何も感じなかった・・・ただ・・・
「見ていなさい」
そう言うと俺を連れてきた男は祭壇に飾ってあるナイフを手にした
牛の血だろうか、そのナイフも真紅に染まっていた
いや・・・真紅と言うよりどす黒く凝固した血がこびり付いている感じに見えた
テーブルの周りには男のほかに5人の人間が立っていた
みな、目だけ出した頭巾のようなものをかぶっている
男なのか女なのか見た目にはわからない
俺は祭壇の前に置かれた椅子に座っている
なぜそこにいるのか・・・
そのときは判らなかった
もし判っていたら・・・きっと其処には行かなかったはず・・・
男はナイフを持ちテーブルを回り込むと女の開かれた股間の前に立った
5人の口から低く地を這うような音が発せられた
なにやら呪文のような言葉だったように思うが、思い出せない
男自身の口からもくぐもった音が発せられた
ナイフを振りかざす男・・・
そのナイフは女の股間に突き立てられた
目を見開き身体をのけぞらせる女・・・軋むテーブル・・・流れ落ちる血・・・
いつの間にか5人の手にもナイフが握られていた
一斉に振りかざすと女に向かって振り下ろした
両手・両足・・・そして額に・・・
女の動きは止まった
それぞれのナイフから流れ落ちる血・・・
「・・・復活せよ・・」上手く聞き取れなかった
そこからの俺の記憶はない・・・
・・・息が切れる・・・もう走れない・・・
もうとっくに体力はなくなっているはずなのに脚はまだ動いている
自分の身体ななのか・・・
車が近づいてくる
「迎え撃つ!」俺は脚を止め身構えた・・・殺られるまえに殺りかえしてやる
近づくライト
俺の身体を避け急停車する車
窓から顔を出す女・・・
「乗って!!」・・・???なんだ
「早く!!」
俺の手はドアを開け身体を滑り込ませる
と、同時に走り出す車
俺は薄れ行く意識の中で声を聞いた・・・
「よかった。間に合った・・・」
その言葉を最後まで聞かぬうち
俺は眠りについた・・・