コツコツと靴音が響く

街灯の灯りに薄っすらと照らし出される道

空を見上げる

半分ほど雲に隠れた赤く染まった月・・・


しばらくぶりに見る月だった・・・いつ以来だろう

歩きながら考える

背後から迫る車の音

脇へ避け車が通り過ぎるのを待つ

徐々に近づく車・・・ライトを消している・・・

嫌な感じがした

まさか・・いや・・・あの頃とは違う・・・判るはずがない

そう思いながらも体中の筋肉に力が入る

いつでも動けるように


俺の数メートル手前で車は止まった

エンジンはかかっているままだ・・・どうする・・

俺はコートの襟を立て歩き始める

動き出す車

・・・感づかれたか・・・いや・・まだ大丈夫だ

俺の感がそう言う

いつの間にか周りから人影が消えた

筋肉の緊張が高まる

俺は少しずつ歩を早め大通りへ向かう

・・・俺にはもうあの頃の力はない・・・だが、ここでやられるわけには逝かない

俺の歩調に合わせ動く車・・・

薄っすらと冷や汗をかいているのを感じた

車が止まった気配がした・・・だが振り向けない

ドアの開く音と共に人が降りる気配を感じる

俺は歩き続ける

・・・二人だ・・・俺の感が言った「走れ!!」

全力で走り出す・・・・・追ってくる!

確かあの角を曲がると・・・


角を曲がった瞬間扉を開き飛び込んだ!!


・・・・・・・


目が覚めた・・・またあの夢だ

ここ数日連夜のように夢を見る

なんなんだ!この夢は・・・

だが・・・あの情景見た記憶がある

いつ?どこで?

わからない・・・だが、確かに・・・

体中に汗をかいていた

ベッドから起きシャワーを浴びる

ひんやりしたシャワーが心地いい・・・

身体を拭き閉じられたカーテンを開けようと手を触れた

隙間から見える人影

・・・どこかで見た記憶が・・・

不快感が体を襲った

手早く服を着てドアスコープを覗く・・・誰もいない

静かにドアを開け廊下に出る

吹き抜けから下を覗く

・・・奴だ!!

本能が俺の身体を動かした

その音に気づいたのか、奴が階段を駆け上がる音が聞こえる

非常階段を駆け下り路地を無我夢中で走る

ただひたすら本能のままに・・・

走りながら俺は思った


そうだ、俺は追われていたんだ・・・


暗闇に紛れ俺はどこまでも走った・・・

その俺を見つめる赤い月・・・


その月に俺はあの頃を思い出していた・・・