二人の争いは熾烈を極めた
七つの昼と七つの夜を数え、それでもまだ決着はつかなかった
ミカエルの白く美しい羽は自らの真紅の血で染まり、片翼の半分はすでに失われていた
体中に受けた傷からはとめどなく血が流れ出し、どす黒く凝結している
もはやその姿は、天使とは似ても似つかない様相を呈していた
「・・ハァハァ、ミカエル・・てめぇのツラやっと本性を現したってとこか・・」
「・・ヘッ、ぬかせ サタン てめぇに言われたかねえな・・ハァハァ・・」
「ミカエルよ、てめぇら天使はなぜ人間を殺す・・・」
「フッ・・サタン、てめぇがなんでそんなことを気にする・・え?」
「人間はな、所詮俺たちが作り出した動物なんだよ・・わかるか?
俺たちが作ったものを壊そうと何しようと勝手じゃネェか・・・そう思わねぇか、サタン・・」
「だがよ、人間はてめぇを神だと思ってんだぜ・・ちったぁ可哀想だとは思わねぇのかってことだよ」
「俺たちが神??まぁな、そう思い込むように俺が仕込んだからな
可哀想??・・思わねぇなまったく ナゼだか判るか?サタン・・・あいつらはな欲にまみれてんだよ
自分のことしか考えてネェ
最初に作り出したときはそれでもまだ可愛いところがあった
まぁ、ある意味あいつらに知恵を与えたのは失敗だったな・・・
その知恵があいつらを傲慢にした 自らの欲望のままに片っ端から破壊しやがった
その度に、俺はあいつらに鉄槌を下してきた 戦争というな名のもとにな・・・
だが、あいつらはまだわからねぇ・・・
限界なんだよ
もう・・・・限界なんだ・・・」
「・・・限界・・・だと? ミカエル、てめぇあいつらの意識を詠んだ事あるか・・・
あいつらの意識の中には限界はねぇんだよ 常に未来があるだけだ
俺がなぜあいつらの死肉を食らってるか、てめぇわかるか?え?ただ、残飯整理やってんじゃねぇんだよ
俺が食らうことによってあいつらに新しい生命が生まれるからだ
ミカエル、てめぇ俺がしらネェと思ってただろ
てめぇの魂は常に新たな生命の中へ転生する ミカエル、てめぇの復活期間が少しずつ延びてきてるのに気づかなかったか?
もうそろそろ生まれてくるはずだ・・・てめぇの身体の中にな・・・」
「・・・なんだと!てめぇ、俺の転生になに企んだ!!」
「教えて欲しいか?・・・新たな神の誕生だ!!」
ミカエルの身体に異変が起きる 体中を血管が縦横無尽に浮かびそして脈打つ
ミカエルのあらゆる毛穴から血が噴出し、ガックリとひざまづく
残っていた翼が剥がれ落ち、そこから新たなる翼が生える 筋肉の収縮が始まる
「・・て・・・てめぇ・・・・・・ゲホ・・ふざけ・・・・やがって・・・・・」
皮膚が裂け血が迸る 肉が盛り上がり、やがてその肉も裂け始める
ミカエルの体中のあらゆる筋肉の断裂が始まる
あたかも蝶の生まれ出でるときのように背中がパックリと開き、血にまみれた姿が現れる
その姿はゆっくりと立ち上がり サタンへ顔を向ける
瞑っていた目が開き、サタンへ向かって言葉を発した
「サタン・・・次はお前だ」