歯が痛い、と当クリニックを訪れた15才の女の子。

見ると歯ぐきが腫れていた。

原因は、昔詰めたプラスチック製の白い詰め物であると判断したので、やりたくはなかったが削り取り詰め直すことに。

なぜやりたくないか。

それは彼女の歯ぐきが腫れているから。

こういう歯ぐきは、ちょっと触っただけで出血するし、そうなると削った場所が血まみれになり、プラスチックがきちんとくっつかない。

けれど、痛いと言っているのに、歯ぐきの腫れがひくまで待ちましょうとは言えず、結局削って詰めなおした。

案の定、血まみれになり、本当に大変だった。



数日後、彼女の母親からものすごい剣幕で電話がかかってきた。

娘の治療した歯が欠けた。
かなり大きく欠けている。
治療したのに歯が欠けるなんてありえない。
きちんと直せ。
直せないなら以前通っていた歯医者に行くから。

と。

で、娘が再び登場。
母は仕事で来なかった。

口の中を確認したところ、歯が欠けたのではなく、詰めたプラスチックが取れていた。

やっぱりな。

その事を彼女に伝えたところ、

お母さんが、こんなに大きく欠けた歯は見たことがない、これは絶対に歯だ、って言ってたから…

とゴニョゴニョ。

今の歯科材料だって、進歩しているのだよ。

ま、彼女の母が欠けた詰め物を歯と間違えるのも無理はないかも。

材料が歯の色や質に似ているのもさることながら、それをさらに歯っぽく詰めた私の技術もまんざらではないということか。

なぜ詰めたものがすぐに取れたかもきちんと説明し、母への手紙も書いて娘に持たせた。




知識の浅い人間ほど、キレるなあ。
と思ってしまった。


説明したって思って理解できないし、説明されたことすら覚えてないし。

だいたい、治せないなら前の歯医者に行くから、って、私が来てくださいと頼んだわけではないのにさ。

余裕がないのねお母さん。