ユトリロ回顧展 観てきました
私がユトリロを知ったのは10代の頃読んだ小説の中でした
主人公の家に飾ってあったのがユトリロの複製画で
その文章での描写に心惹かれ
いつか絵が見てみたいと思ったのでした
当時はネットなんてなかったし
画集なんておいてある図書館なんて近くになかったので
小説の中の文章だけで想像したのです
それがこの有名な教会の絵です
今回もパンフレットやチケットに使われていました

小説の描写から想像して
いつか本物を見てみたいとの思いはその10年後ほどに叶いました
NHKのTVでユトリロの生涯を追った番組が放送されて
そこで初めて目にしたのです
同時にモーリスユトリロの生涯と他の数々の絵を知ることにもなり
すっかり虜になってしまったのです
先にも後にも一人の画家の絵を好きになったのはユトリロだけです
もちろん ピカソもゴッホも見れば惹かれはしますが
出会い方が違いますから
その分思い入れも格別なのでしょう
そして 今から20年前
地元の美術館でユトリロ展が開催されたのです
10代で知ってそれまで
私の知る限りではこの地方では大きな展覧会なんてなかったのですから
これかもう今行かないと一生観る機会はないかもしれないと思いました
当時 次男が2歳
まだ美術館へは連れていけない年齢だとは思ったのですが
どうしても行きたかったので連れて行きました
次男 絵なんてまだわかる由もなく 退屈するだろうと心配しましたが
ひっそりとした空間の館内で私が堪能する1時間ほど
おとなしくしてくれていました
初めて目にする本物のユトリロと
じっと待っていてくれた次男への思いで泣けるほど嬉しかった記憶があります
そして今回
また同じ美術館で回顧展というスタイルで再度催されたのです
今回は前回より展示点数は少なかったものの
前には見なかった絵もあって
そして私が年齢を重ねた分 違った角度から見ることもでき
本当に充実した観覧になりました
ユトリロは狭い一室でほとんど外に出ないで絵を描いていたので
題材もとても狭い行動範囲の建物や通りの絵が多いのです
同じ建物を同じ角度から
季節や一日の時間を変え何度も何度も描いてます
ユトリロの好きな場所 好きな景色なんだと思います
たぶん もし私がそこにいたらきっと
私も好きな場所 好きな景色だったろうと思われる絵がたくさんあります
ユトリロの絵にはほとんど人物が描かれていません
描かれていてもそれは景色の一部なので後姿だったり
顔がはっきりしてなかったり とても薄い存在なんです
解説の一部で
「ユトリロは静寂と人のいない幸福を描きたかった」とありました
人のいない幸福とはつまり
「ひとがいると不幸」だということでしょうか
なんだか この孤独を愛する心に共感してしまうのですが
力強さも躍動感も明るさもないのに
絵の中には愛も温もりもあるんです
日本人にユトリロファンはたくさんいると聞きます
今日も 私と同じ年くらいの男性が
たぶん 自分の好きな絵なんでしょうね
思い更けるようにじっと一つの絵を観ていました
好きな絵にはきっとその人それぞれに
記憶や想いがあるんでしょう