幻想は死んだ | はんぺん刑事の事件簿

幻想は死んだ

2008年7月15日早朝。

米・ロスで開催中のE3、マイクロソフトカンファレンスにおいて

サプライズとしてFFXIIIのXBOX360マルチ化が発表された。

リアルタイムでネット中継を見ていた俺は

カンファレンス最後の最後に再度登壇し、

「ワンモアサプライズ!」と笑顔を称えていた和田氏を見て、まさかと思った。

スクリーンに映し出されるライトニングや原始子、シヴァイク。

速報スレは歓声と怒号に包まれ、

俺も興奮し、「きたああああ」と叫んだ。

場の盛り上がりに同調し、盛り上がってはみたものの

数分後になんだか糸が切れたような状態になった。

「・・・ああ、幻想は死んでしまったんだな」

そう思った。

ファイナルファンタジーは常に時代の最先端を走るモノ。

常に挑戦しつづけるモノ。

その時々に持ちうる最高の技術を結集し

我々に驚きと興奮を与えてくれるモノ。

XIIIに期待していたのはPS3という未だ全力を引き出せていないマシンを使い、

BDという大容量のディスクを使い、

どんな幻想を見せてくれるのか、というのが大きかった。

SFCでIVの飛空挺の画面をはじめて見た時の驚き。

PSで引きの画面からミッドガル中心部へと移行していく時の興奮。

PS2で今までにない美しい画面を見せてくれた時の期待。

新たなハードで発売されるはじめてのナンバリングFFに

わくわくしなかったことはない。

しかしXBOX360とのマルチを選択したことによって

XIIIから「挑戦」は消え、「保守」になってしまった。

大体の出来が想像できるようになってしまった。

「期待」という幻想を抱けなくなった。

DVDメディアとのマルチになったことで

少なからず削られてしまう要素があるだろう。

PS3だからこそできる表現は殺され、

マルチにしても問題ない技術のみが使われるのは想像に難しくない。

「挑戦」ではなく「妥協」の産物になってしまう。

なんとつまらないファイナルファンタジーだろうか。

PS3の世界的な劣勢を見れば経営的な判断としてマルチは間違っていないし、

発売されれば間違いなく買うだろう。

ただ「挑戦」という幻想を見せてくれたファイナルファンタジーは死んだ。

そう思い、ただ悲しくなったのだ。