小説風 | 燎平のミラクルな日常

燎平のミラクルな日常

燎平が日々引き起こすミラクルを余すことなく綴った日記になります。

「俺は多分、自分を表現したくても、上手く出来なかったから音楽に逃げたんだ。」



そう、逃げだったんだ。思い出した。俺は・・・



ライヴでお客さんが盛り上がってくれてる


ジャンプを煽ってる俺


肝心の俺が最後の最後で恥ずかしがって自分を出し切れなかった


皆はちゃんと楽しもうとジャンプしてくれたんだ




俺は最低だ




皆喜んでくれてた。また来てねって言ってくれた。




俺は皆に救われた。こんな俺を認めてくれた


あの日のお客さん達との約束をまだ果たせていない。


逃げたままだ




「またあの夢か・・・」




霊閉(リョウヘイ)はゆっくりと起き上がり身支度を整える




しばらく音楽の制作意欲が全くわいてこない事に戸惑っていた。

こんなことは初めてだった。


「いくらなんでも、一年近く表現欲がわかないというのは・・・」


霊閉は考えを巡らせ、ひとつの結論に至った



「そもそも俺にとって、曲作りも歌う事も、全て自己表現の手段だったんだ。なぜなら普段うまく喋れないし、すぐ緊張するし臆病だし、シャイで自分を出せない性格だったから・・・」

しかし今は、温かな友人達のおかげで少しずつプライベートでも言いたい事言ったりで自分を出せるようになってきていた。



「だから表現欲がなくなってしまったのか・・・?」



一般的に人は、十代後半辺りで落ち着いてきて大人になってくるものだが、霊閉の場合は違った。

学生時代他人を気にし過ぎ、嫌われる事を極端に恐れ自我を押さえつけていた反動からなのか

年を重ねるほどにある種わがままになって行く自分を感じていた。



「もう他人にビクビクして何も出来ない自分にはうんざりだ。それで音楽を作れなくなったんなら仕方ないさ。」



自分にとって音楽は目的でなく手段であったことに気付いた瞬間であった。



「もちろんリスナー側での音楽ファンってのはずっと変わらないけどね。」



温かな日差しの中、霊閉は外に出た。





(maybe)to be continue