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君の心拍が確認出来た日、お母さんは嬉しくて嬉しくて、そしてホッとしたよ。

その日、マタニティ用品やベビー用品を買いに行ったよ。


ベビー服って沢山あるの。でも、なかなか良いのがないの。

どうしようかな。

沢山探して見つけたよ。
君のイメージにぴったりなの。

真っ白なベビー服。
小さな天使の羽がついてるの。

これしかないと思ったよ。

君のお父さんは、“白馬に乗った王子様”というよりは、“馬に引きずられるトド”って感じだけど…

お母さんにとったら、やっぱり“王子様”なの。


君も、“天使”というより“悪魔”みたいに、もしかしたら泣いて泣いてお母さんを困らせたりして、育児がツラい時もあるのかもね。今もつわりで苦しいよ。でも幸せな苦しみ。

やっぱり君は“天使”なの。

来てくれてありがとう。


君のお父さんが、お母さんに「好きです」と言って、お父さんとお母さんは始まったんだよ。
お母さんもお父さんが大好きだったから嬉しかったな。

ちびにゃんのことも大好きだよ。


お父さんは初めてのデートの時こう言ったの。

「空も飛べそう」って。

私たちには本当は羽なんてなくてね。空は飛べないの。それくらい嬉しい気持ちってことだよ。


次のデートはスピッツのコンサートに行ってね。

スピッツの曲には「空も飛べるはず」って曲があるの。

二人の思い出の曲になったんだよ。

「君と出会った奇跡がこの胸に溢れてる。きっと今は自由に空も飛べるはず。」

お母さんは君のお父さんに出会った時にも“出会った奇跡”に感謝したんだ。

君が来てくれた時も、その“奇跡”に感謝せずにはいられなかったよ。



君は今、お母さんのお腹の中でどんどん成長しているんだね。

どんな羽を持って生まれて来るのかな。
その羽をお父さんとお母さんは必死で守るから。

どうか健やかにのびのびと育っていってね。



お父さんとお母さんは君に会えるのを心待ちにしているよ。



お母さんより
2007.12