翌日、約束の時間に図書館前に向かう。


まだ5分前だか、先生はもう来ていた。


約束の時間に約束の場所で待ってくれている。
どけだけ彼にこれを望んだろう。



この人なら穏やかな付き合いが出来る…。



もう一度自分に言い聞かせ、彼氏はいるが友達としてならという旨を伝えた。



この返事に、先生はとても喜んでくれた。



彼氏がいることは知っていたようだった。
ペアリングをしてたからか。


この人は、まずは友達としてでいい。好きにさせてみせると前向きだった。


ゆっくり好きになっていけたら…
私も前向きに考えていた。






しかし、数回食事をしただけで限界。

好き好きオーラが気持ち悪かった。
友達として…と言うのに彼氏ヅラなのも許せなかった。



ハッキリ伝えた。



「断る時はバッサリと!」

余計な期待を持たせないようにするのが私のモットーだ。

綺麗に切られた傷は治りが早い。



好きになってくれるコトは嬉しいコト。

気持ちには応えられないけど、その気持ちには感謝している。

だから最後の思いやりとして、バッサリ斬る。

ノコギリでギコギコなんて残酷な切り方はしない。




この断り方で、今までポカンとされることはあっても、皆アッサリ引いてくれていた。

勝手なもんだが、断ったこっちが寂しいくらいに。しかし、それくらいで調度いいとは思わないか。




今回もバッサリ斬ったつもりだ。



なのに…



聞こえないのか?
見事にスルーされた。




そして、さらに…
彼はとんでもない言葉を発した。






「結婚しよう」





は(゜○゜)?
こっちがポカーン。



当然お断り。



しかし、しつこかった。
もうストーカーまがい。

「婚約破棄で訴える」とまで言ってきた。



婚約なんてしてない。
付き合ってさえない。



そんな訴え出来ないよ。

ただの法学部生でも分かる。
いや、法律かじってなくても分かる。



弁護士の発言とは思えない。



仮にも私は法学部生。
弁護士という職業には尊敬の念を抱いていた。

弁護士の品格を下げるような真似は慎んで頂きたい。



自分のことを好きなはずだという“根拠のない思い込み”、私に対する“執着”。



――異様だった。



司法試験は超難関。

やはりあんな試験パスするには、モチベーションの維持がキーとなる。

自分は受かるという“根拠のない思い込み”と、試験に対する“執着”が必要だよな…と改めて実感した。




その後もストーカーまがいの行動は続いた。



不気味な日々…

思い出したくもない。
思い出す必要もない。



もう気が狂いそうだった。