志賀直哉「城の崎にて」と言えば、思い出す話がある。



まだ私達が付き合っていた頃の話。






私は親に付き合いを反対されていた。

夫は私より一つ歳上。
出会いは今から4年半前。2003年春。大学で。
同じ部活の先輩だった。


なのに、
お互い大学卒業後すぐ結婚?夫は入社一年目?


そう、留年したのだ。

あえての留年でない。
素で単位が足りなくて留年。
就活も決まらず、無職確定。


これだけでも少し情けないと評価されてしまう。



ならば内面が素敵なのかというと

…猫科の男だ。

気分によって振り回される。

しょっちゅう音信不通になる。

デートはいつも私が有り得ないくらい待たされている。

彼の周りからの評価は「変人」。





…とりあえず、親が反対したくなる気持ちも分かる。



しかし親は、
私がこの猫科の男にベタ惚れだと分かっていたから、

「恋愛と結婚は別」と、
嫌というほど叩き込まれていた。




また、正直私も疲れていた。


――約束が約束として成立しない。

デートといえば、普通、行くまでの準備も楽しみなはず。
「ちゃんと来てくれるだろうか」と思いながら待つ日々に限界を感じていた。



――大事な伝達事項があるのに電話が繋がらない。

もしも結婚して、私に一大事があっても夫となる人は来てくれないんだな…。




彼の態度から、愛されてると感じることは出来なかった。


愛してない女と付き合ってるなんて可哀想だ。
離れてあげる方が彼は幸せなんじゃ…。



私の黄色信号に気付くはずもなく、彼の態度は変わる様子を見せなかった。



なので私自身、別れなきゃとは思っていたのだ。





そんな折、私に怒涛のモテ期到来。
そう。皆、人生で3回来ると言われているアレだ。笑

3回あると言われているうちの、1回を消費してしまったであろう私は、なぜかこの時期やたら告白された。



反対していたのは親だけでなく、親しい友人にも

「別れた方がいいと思うよ。チャンスじゃない!男を忘れるには男!」
「友達として付き合うだけでもさ!」
と、こんこんと言われていた。




――別れなきゃ…。




しかし、やはり私は猫科のあの男しか考えられなかった。






猫科のあの男に勝つ男は現れるのか?










…現れた。

勝ちそうな男が。