ところで、夫の勤め先では、
冬に社員旅行があるらしい。

温泉になるのは決定だが、
どこの温泉かはまだ未定とのこと。


私達はまだ新婚旅行に行っていなかった。

大学卒業後、すぐ結婚したので、先立つものもないわけで。

親は出してくれると言ったが、申し訳ない気持ちと、
入社一年目から休暇をいただくのは気がひけるというのが、
まだ行ってない理由だ。


…本当はもう一つ理由があるのだが( ̄▽ ̄;)

夫は究極の面倒くさがりで、先延ばし先延ばしになっていたから…というのは忘れたい。(^^;笑


新婚旅行は、海外が人気みたい。

しかし、私は国内にしたいと思った。

初心を思い出したくなったら気軽に行ける。
そんな場所が良かった。


…というのは確かにあるが、

デート中、いつもフラフラと私を置いてどこかに消える夫。
海外で、はぐれたら洒落にならないから…というのも忘れたい。(^^;笑


そして、私達の行きたい場所は決まっていた。


**城崎温泉**


本好きの夫。
家には本がズラリ。

特に司馬遼太郎や星新一が好きみたい。

私は本はあまり読まないが、読むなら山本文緒とか江國香織とか…森鴎外も好きだな。

本の趣味が合わないのだが、唯一合った作品がある。

**志賀直哉「城の崎にて」**


短編ながら、生と死について深く考えさせられる。
そして「生きよう」という気持ちを沸き起こさせてくれる作品。

もしかしたら行き先が城崎になるかもしれないから、先に一緒に行こうと言うのだ。

デートの提案はたいていいつも私から。

こんな提案をしてくれるなんて、
嬉しくて嬉しくてたまらなかった。

やはり休みをとるのは気がひけるので、三連休を利用して行くことになった。


「子どもがいなかったら、旅行にもたくさん行けるじゃないか…。」

確かにそう言い聞かせる自分がいたが、

さっそく旅行に行くことになったわけだ。


そして、気分屋の夫の気が変わらないうちに、結局私が計画を立てたのだった(ノ_・。)