今回は1993年に発表されたZI:KILLのラストアルバム「ROCKET」を紹介する。
ZI:KILLは2度の武道館単独公演を持って1994年に解散する事となる。
解散の物寂しい雰囲気が何処と無く今作からも感じられる。
全作詞TUSK、1曲を除いて全作曲KEN


収録曲

1.あえげ!メス豚
2.FLY
3.For me
4.I LOVE CAT
5.CALLING
6.ナニモイラナイ
7.Bad Man
8.PEOPLE PURPLE
9.I LOVE YOU
10.ROCKET


とんでもないタイトルのM1は全体的にSEICHIの重苦しい音のベースラインとEBYの重たいドラムが響き渡っている。
この曲の主役はリズム隊と言っても過言ではないだろう。
KENの狂ったギターとTUSKのがなるような歌声がこの曲をより危ない雰囲気にしている。
ちなみに歌詞は全編英詞である。
M2は本作唯一のSEICHI作曲のナンバーで、冒頭からブリブリとしたベースラインを聴くことができる。随所に散りばめられたホッピー神山のホーンアレンジも良い。
ベースに耳が行きがちだが、KENのギターが狂ったメロディーを奏でている事にも注目。
M3はファンの間でもかなり人気の高い曲。
TUSKの可愛らしい歌声と漢らしい歌声の使い分けは流石七色の声を持つと言われただけある。
本作でもかなりストレートなロックンロールナンバーではないだろうか。
可愛いタイトルのM4は何処かブルージーな雰囲気のある曲。ZI:KILLのサウンドなんだけどオールディーズな感じもある名曲。
M5はシングルとしても発売され、アニメのEDとしてタイアップされた名曲オブ名曲。
壮大なイントロのギターとSEICHIのベース、TUSKの伸びやかな歌声とEBYのタム回しから展開される儚くも美しい世界観が素晴らしい。
サビでのピアノもこの曲が持つ美しさに色を添えている。
M6はジャズテイストな楽曲。ピアノとベース、抑え目なスネアの音とTUSKの寂しげな歌声と歌詞にKENのブルージーなギターの音が絡み付き何とも言えない孤独感というか虚無感を表現しているように思ふ。
M7はZI:KILLというよりかはKENの狂ったギターの世界観を堪能出来るアップテンポナンバー。
吾輩が今作において最も好きな曲。
全体的に暴れているがサビで更に暴れ出す感じがめちゃくちゃ好きである。
M8は前曲の勢いを殺さずに暴れ回るアップテンポナンバー。TUSKの叫ぶような歌声や歌詞が何処と無くパンクらしさがある。どのパートも好き放題に暴れまくっているが何とか曲として形を保っている危うさが最高である。全体的にホーンアレンジが目立つが特にKENのギターがキレにキレまくっている。
M9は前曲までから一転して、もの悲しげなメロディーが響き渡る曲。TUSKの苦しそうに囁くような歌声と淡々と刻まれるギターの音が憂鬱さを表現しているように思ふ。
M10は本作のタイトル曲。
暗い感じのアコギの音色とTUSKの可愛らしくも寂しげな歌声が響き渡り、そこに抑え目なリズム隊が入ってくる。このままで終わるのかと思いきや途中で一気にテンションが上がり、ZI:KILLが一筋縄ではいかないことを証明した曲。
本作「ROCKET」をもってZI:KILLはROCKETに乗って何処へ飛び立ってしまった。


最後のオリジナルアルバムではあるものの、前作から更に研ぎ澄まされたZI:KILLの音の洪水が広がっているように思ふ。

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★★★★★