今回紹介するのはZI:KILLのメジャーデビューアルバムにして通算3枚目となる「DESERT TOWN(1991)」である。
プロデューサーはBOØWYやGLAYでお馴染みの佐久間正英氏である。
今作のドラムも前作同様yukihiroであるが脱退したため、ブックレットに写真はなく名前がクレジットされているのみである。
ちなみに脱退後のyukihiroはD'ERLANGER解散後のkyoとDIE IN CRIESを結成した。
作詞はTUSK、作曲は主にTUSKとKENが担当している。


収録曲

1.DEAR JUNK
2.ROUND AND FATE
3.LONELY
4.DESERT TOWN
5.THIS TOWN DIE
6.少年の詩
7.NIGHT CALL
8.笑ってごらんよ
9.SUICIDE~想い出なんて~
10.PARADISE


M1から攻撃的なナンバーで開幕する。
TUSKの叫ぶような歌い方と途中のギターがかっこいい。
M2はイントロのギターからとんでもないことをしている。吾輩がZI:KILLをちゃんと聴くきっかけになった曲でもある。KENが天才だと思い知らされた曲のひとつ。
M3は先行シングルとしても発売された曲。
イントロの霧の中を彷徨っているような怪しい雰囲気のギターとそこに絡みつくようなベースラインが素晴らしい。この曲はSEICHIが作曲に参加していることもあり、ベースが前面に押し出されている。
泣きのギターソロも必聴である。
M4は前曲から変わって攻撃的なナンバー。
この曲は特にドラムが尖りまくってる印象。
yukihiroの後任として加入した元D'ERLANGER(当時)のTetsuがライブでこの曲を叩いており、速さも相まってカミソリ並の鋭利さになっている。
M5はボディコンやディスコなど、現在ではあまり耳にしない歌詞が特徴。SEICHIも作曲に参加している。
ドラムのタム回しに乗っかるように、切り裂くようなギターとうねるベースライン、TUSKの歌声が見事にマッチしている。
M6は泥臭く、漢らしいバラード曲。前曲で叫んでいたTUSKがここではしっとりと且つ悲しげな声で歌い上げている。ピアノの旋律と綺麗なアコギの音色が悲しみの中の美しさを表現している。
紛うことなき名曲である。
M7はSEICHIも作曲に参加しているので、こちらもベースラインが非常に前面に出ている。
Bメロ付近とサビの刻むようなバッキングとサビでの狂ったようなギターの音がめちゃくちゃ好きだったりする。
M8は歌詞がなんとも言えない憂鬱さを醸し出しており、歌詞だけ見れば本作でも1番暗い内容。
TUSKの苦しそうな歌声が悲しさというか、張り裂けそうな心を上手く表現している。
時折、挿入されているシンセサイザーも非常に効果的だと思う。
M9はTUSKが亡き高校時代の想い人に向けて綴った鎮魂歌。心の奥底に静かに迫り来るようなKENのギターとTUSKの死を悼むかのような歌声が涙を誘う。リズム隊は淡々としているがその裏では死を悲しむかのような哀愁を漂わせている。
歌詞がめちゃくちゃ心に染みるので、是非とも歌詞を見ながらこの曲を堪能して頂きたい。
M10は全編英語の歌詞で作詞に今作のプロデューサーである佐久間正英氏が参加している。
包み込んでくれるような優しげなイントロから始まり、夜明けのような綺麗で何処か虚無感のあるサビが特徴的。



前作「CLOSE DANCE」は誰もが認める名盤であるが、今作もそれに負けず劣らずの名盤。
佐久間正英氏のプロデュースがZI:KILLの音楽性と物凄い化学反応を起こしたことが、今作が名盤たる所以だろう。
前述したように今作でドラムのyukihiroが脱退したためD'ERLANGER解散後のTetsuが短期間加入して、次作から解散までEBYが加入する。


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