今回はExtacy RecordsよりリリースされたGilles de Raisの2ndアルバム「殺意(1992)」を紹介していく。
前作がプログレ色が強かったのに対し、今作はヘヴィメタルへと方向転換している。これが功を奏したのか、このアルバムはGilles de Rais及びV系の名盤になり、今なお根強い支持を受けるアルバムである。
楽曲もGilles de Raisのアルバムの中で最も多いので非常に聴き応えがある。

収録曲

1.SUICIDE
2.MOONLIGHT LOVERS
3.UP TO DATE
4.殺意
5.BRAIN FOR DELIRIUM
6.K3 NOISE
7.SLOW LINE
8.CYBER PUNK
9.崩れ落ちる前に・・・
10.巴里祭
11.FOLLOW ME
12.#19
13.PEOPLE OR PEOPLE


M1は約1分半の曲である。この頃のアルバムはオープニングS.E.を入れたり、短い曲から始まるのが様式美となっていたので、Gilles de Raisもその流れを汲んでいる。
この曲により、今作が前作とは違う音楽性であることがわかる。
そして間髪入れず始まるM2は妖しげなシンセとメロディーが特徴。イントロのギターの切り刻む感じのフレーズがカッコイイ。
M3はJACK作曲の少し怖いアルペジオ(?)から始まる曲。この曲は特にSINNのドラムがカッコイイと思ふ。また、テンポが結構上下しているのも特徴だろうか。
M4はGilles de Raisの代表曲であり、表題曲でもある。冒頭の女性の声は GILLE' LOVESのルシファー ラセス ヴィオルヌが担当している。
不安に駆られるメロディーが特徴の冒頭のアルペジオ(?)から殺意的衝動に変化したようなスピード感あふれるメロディーに変わる。 
途中のベースソロと、「灰色に染まる〜」で漆黒の殺意を持った感じになり、実行しに行くかのようなギターソロがカッコイイ。
EXTACY SUMMITでも演奏されている動画があるのでそちらも確認されたし。
また、こちらは次作「BECAUSE」にも別Ver.で収録されている。
M5はJACK作曲のサイバー感のある楽曲。
前作までのプログレ感を踏襲しつつも途中で打ち込みを入れたりとかなり実験的で不思議な内容になっている。
歌詞の殆どが「・・・」となっており、同じEXTACY所属だったバンド、ZI:KILLのアルバム「CLOSE DANCE」収録のTEROのような歌詞になっている。
M6はドラムのツタツタ感がカッコイイ曲。初期黒夢のようなドゥームメタルに近い。
タイトルのKの3乗からとある団体が思い出されるが、歌詞も結構暗い内容なのでそれについて歌った可能性は大いに有り得るだろう。
M7はJACK作曲のインスト曲。とにかく美しいメロディーで構成されており、攻撃的な曲が多い今作でもある意味異色な曲である。COLORの「GEEELA」や「CASTLE」に匹敵するほど美しくも儚いメロディーが涙を誘う。
聖飢魔IIの大教典「恐怖のレストラン」収録のインスト曲「緑色の雨」と通じる部分があるようにも思ふ。(あちらも今作と同じく殆どが攻撃的な楽曲が多い中での美しいメロディーのインスト曲なので)
M8は近未来における技術の発達の危うさについて書かれた曲。ギターソロが尖りまくっててカッコイイ。これは完全にメタルだろう。
M9はJACK作曲で、今作では比較的遅い曲。
この曲はギターのバッキングとギターソロがカッコイイし、Bメロのベースラインもカッコイイ。
M10は本作唯一のバラードナンバーで、無邪気にはしゃいでいた子供の頃を思い出すようなノスタルジックなメロディーが特徴。
1920年代のようなモノクロ映像に映し出される秋か冬の悲しげな感じもする。
先程まで叫ぶように歌っていたJOEがこの曲では少し掠れた声で優しく歌い上げている。
何処かで聴いたことがある感じなんだけど思い出せないのでもし知っている方いたら情報提供お願いします。
M11は前曲から一転して再び攻撃的な曲に戻っている。サビの歌メロとドラムががめちゃくちゃカッコイイ。
M12はDEE作曲。こちらもドラムがカッコイイ曲だと思ふ。「迫害されない頭の中」という歌詞の一部分が印象に残る。
M13は本作でもかなり異色な部類に入るとても不思議な浮遊感を持つ楽曲。DEEのベースラインが結構効いてて心地よい。


全曲捨て曲なしのGilles de Rais、そして90年代V系の名盤である。
Crack A BoyからGilles de Raisを聴き始めた方は初期の攻撃的なGilles de Raisに驚くだろう。
フリマアプリ等でもだいたい2000円前後で売られているのを見るので、もし見つけたら迷わず購入すべし。

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★★★★★